『カメ止め』以降も活躍続く濱津隆之 俳優で売れることは「あまり大切じゃない」
2017年にイベント上映された映画『カメラを止めるな!』で主演を務めた俳優の濱津隆之。翌年映画が全国で劇場公開されると大反響を呼び、一躍その名を広く知らしめた。その後も数々の映画やドラマなどの映像作品に出演し、前作が興収57.3億円を記録した大ヒット映画『キングダム』の続編『キングダム2 遥かなる大地へ』では、山崎賢人演じる主人公・信や、清野菜名ふんする羌かいらを束ねる伍長・澤圭(たくけい)という重要な役に挑んだ。大活躍の現在だが、濱津は「売れるか、売れないかはまったく問題じゃない」と独自の価値観を述べる――。
【写真】「俳優で売れることは、あまり大切ではない」と語ったスーツ姿の濱津隆之
■逃げることはダメなことではない!
6月に行われた『キングダム2 遥かなる大地へ』の完成報告会の席上で「想定外でした」とオファーを受けたときの率直な感想を述べていた濱津。
「原作マンガが超人気作だというのは知っていましたが、僕は読んだこともなかったし、予算も含めてとても大きなメジャー作品だったので、僕とはまったく違う世界線にあるものだと思っていたんです。なのでオファーを頂いたときは、ビックリというか信じられませんでした」。
地に足が着いていない感じの中、まずは原作を…と読破していき、作品の世界観に魅了された。その中で、自身が演じる澤圭という人物の人となりを知り、自分に声がかかったことが、少しふに落ちたという。
「原作を読んでいて、まず澤圭は頼りなさそうなおじさんだなという印象があって…。僕自身もそう見られることが多いので、その部分では『なるほどな』と思ったんです(笑)。でも『私の伍は今まで一人も死んでいません』というセリフがあるのですが、武術はそこまでではないけれど、生きるという信念のもと、知力で乗り切るみたいな生命力の強さや、逃げるが勝ち的なところはどこか似ているのかなと感じました」。
濱津の言葉通り、澤圭は伍の仲間の命を守るために、プライドを捨てられる強さがある。濱津自身も「逃げることがダメなことだとは思っていません」とキッパリと語る。
「まあ、僕の場合逃げるというよりは“諦める”という言葉に近いのかもしれませんが、ダメだと思ったことに固執はしません。世の中的には『限界なんて自分で決めるな!』みたいなことが美徳に思われているかもしれませんが、絶対無理なことってあるんです(笑)。限界だってある。あえて身の丈に合っていないのに挑み続けても、傷つくだけだし本当に意味がないと思うんです。しっかり見極めて諦めることって、絶対悪いことではないし、僕はそういう生き方をしてきました」。
確かに濱津のこれまでの活動を見ていると、芸人、ミュージシャン、俳優と、その時々にいろいろな顔を見せており、この考え方を踏襲した生き方をしているように感じられる。
「お笑い芸人になりたいとこの世界に入ったところから始まり、音楽をやって、そして俳優業に流れ着いて…。僕はやってみたいなと思ったら、やらないと気が済まないタイプなんです。だからとりあえず“やりたい”という思いを優先してやる。周囲から見るとフラフラしているように見えますが、その思いだけはしっかり核として持っています。それでやってみて、無理だなと思ったら、次はこれをやろう…みたい感じで、あっち行ったりこっち行ったりなんですけれどね(笑)」。