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ずん飯尾和樹、『アンナチュラル』が俳優業の転機に 高評価も「勘違いせず軸はお笑いで」

映画

■『アンナチュラル』出演後にドラマの話が増えた



 娘を失った悲しみと、犯人への不条理な怒り。劇中の飯尾は、いつも笑顔で周囲を楽しませるパブリックイメージとは正反対の佇まいを見せる。本作のジャパンプレミアイベントでも、妻・真智子を演じた戸田菜穂や、親友役を演じた田口浩正が、飯尾の俳優としての姿勢や演技を称賛していた。

 そういった評価に「ありがたいですね」と、いつもの人を和ませる笑顔を浮かべると、近年の俳優業へのオファーが続く状況に「感謝しかないですね」と語る。しかし自身は「正直良かれと思ってやったことでも、実際はカットされていたりするので、無症状というか、あまり実感がないんですよね」と胸の内を明かす。

 それでも2018年に放送された連続ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)に出演した際は、大きな反響があったようで「あれからお芝居の仕事が少しずつ増えてきたような気がします」と語る。実際、2018年以降、連続テレビ小説『半分、青い。』をはじめ、話題のドラマや映画への出演が相次いでいる。

 芸人として活躍する飯尾にとって、俳優の仕事はどんな位置づけなのだろうか――。「作品の作り方など、お笑いとは別世界ですよね」と笑うと「でも自分的には『沈黙のパレード』で頑固一徹じゃないですが、怒りに満ちあふれた人物を演じている一方で、同時期に“ドリフターズ”のコントを収録していたんです。まったくベクトルの違う感情を出すというのは、どちらにとっても刺激的で面白かった」と相乗効果を強調する。


■「お笑いをしっかりやってきたからこそ、お芝居の仕事が頂けている」

 「自分がまったく持っていないような感情の人物になれるというのはとても面白いですね」と俳優業の魅力を語った飯尾。芝居というもの自体に興味を持ったのが、内村光良が監督を務めた2006年公開映画『ピーナッツ』に出演した時だったという。

 「初めてどっぷりと映画の現場を経験させてもらった作品だったのですが、さまぁ~ずさんやTIMさん、ふかわりょうくん、まだそんなに売れていないときのムロツヨシさんや上地雄輔くんとか、とても面白いメンバーで楽しかった。またこういう現場でやってみたいなと思ったのはあの作品でした」。


 今後も俳優業を積極的に続けていきたいのかと問うと「あくまで受け身ですからね。でも声を掛けていただけるというのはとてもうれしいです」と控え目に語った飯尾。そこには“芸人”としてプライドものぞかせる。「お笑いをしっかりやってきたからこそ、こうやってお芝居の仕事が頂けている。勘違いしないで、軸はお笑いで」と自身の立ち位置をしっかり意識していた。(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)
 
 映画『沈黙のパレード』は、9月16日公開。

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