「選ばれる人にならないと仕事は来ない」入社10年目・弘中綾香アナが大切にしていること
――同書では、アナウンサー業を「ハイリスク・ハイリターン」と表現されていましたが、具体的にどういう部分でしょうか?
弘中:リスクは顔が割れていることですね。いろいろ言われるので、生きていくのが大変です(笑)。ハイリターンなのは私にしかできない仕事がたくさんあること。20代に任せられないような仕事にたくさん挑戦させてもらいました。各業界のトップの方と会えるのもそう。今お仕事させてもらっている若林正恭さん(オードリー)、ノブさん(千鳥)、山里亮太さん(南海キャンディーズ)も皆さんすごい下積みを経て今第一線で活躍されていますが、私は下積みらしい下積みをせずに、ご一緒できているのはすごく幸せなことだなと思いますし、学べることも多い。アシスタントを務めさせてもらった『ミュージックステーション』も日本を代表する方々とお話させていただいて。すごく変な職業だなと思います(笑)。
――入社10年目。経験の中で得たものや新たな気付きはありますか?
弘中:どの仕事でもそうですが、選ばれる人にならないといけないと思いました。番組に誰をアサインするかとなったとき、10年目だと5年目から15年目くらいの人から選ばれることになると思うんです。そこで選ばれないと仕事は来ない。そうしたシビアな面も多く、ちゃんと自分の強みや個性を出して分かってもらい、選んでもらえるかが大事。「弘中にお願いしてよかった」と思えるような仕事をしないと次につながらない。そうでないと“誰でもいい”仕事しか来なくなってしまうので、1個1個の仕事を大切にしています。
――同書を拝読し、人とのコミュニケーションの取り方が絶妙だなと感じました。書かれていた「相手に気持ちよく伝わる言葉遣いをする」ことも、コミュニケーションを円滑にする1つのテクニックですよね。
弘中:そうですね。伝え方1つで、本当に変わります。言い方を考えるのは手間がかかりまけど、それで相手が気持ちよく自らやってくれるようになるんだったら、その労力は惜しむことではなくて。会社にはいろんな人がいて、同じ目的のもとに集まっているので、嫌いだから話さなくていい、というわけにはいかない。お互い気持ちよくできるように言い方くらいは考えたいです。
――それ以外に意識されていることはありますか?
弘中:やっぱり当たり前のことを当たり前にやることですね。そうしていれば、ふとミスをしたときも許してもらえる可能性が高い。例えば、いつもメールが返ってくるのに返ってこないとどうしたんだろうとなるけど、いつも返ってこないと、またかとなる。そういうささいなことが大事なんです。あと、相手によってどのようなコミュニケーションが適しているかは、見極めて付き合うようにしていて。相手の特性を見て、どんなコミュニケーションが好きなのかを察知して対応しています。