「選ばれる人にならないと仕事は来ない」入社10年目・弘中綾香アナが大切にしていること
――エッセイでは「自己肯定感が高いわけではない。むしろ低いと思う」と答え、なぜ世間のイメージとは真逆に見えるのかを分析されていました。自分の本質と世間のイメージとのズレに葛藤することは多いですか? どうやって乗り越えたのでしょうか?
弘中:最初の頃は、葛藤することが多かったですね。それを乗り越えられたきっかけは、4、5年前に執筆を始めたことです。テレビは編集され、瞬発力を試されますが、執筆は時間を取って、自分の考えを文字で説明できる。テレビでは切り取られているけど、裏ではこう思っていると伝えたくて始めたことなので、書くことだけで助けになっています。
あと中学や高校、大学の友達は、アナウンサーになる前からの素の私を知っているので、その子たちと話すことも大事にしています。顔や名前も一致しない方に嫌なことを言われることもあるけど、友達が私のことを理解してくれているのならいいんです。
――これから成し遂げたいことはありますか?
弘中:今は、そんなにないですね。4、5年前に文章を書いて人に読んでもらいたいと思い、本が出せて、1つ区切りができたので、次は何をしようかなという感じです。面白いことがまた降ってきそうですし、まだ31歳で、ほかにたくさんやれることがあるんじゃないかなと思っています。
――エッセイで振り返ることで、自身がどういう人間だったか分かったと書かれていましたが、振り返ってみてよかったですか?
弘中:よかったですね。私自身、「次どうするんですか?」とよく聞かれますが、31年、目標もやりたいこともそんなにない人生だったんです。なぜこんなに行き当たりばったりで生きているんだろうと思っていたのですが、今回『ダ・ヴィンチ』の連載で2年かけて人生を振り返ったことで、私はこういう感じだからしょうがないと、一種の答え合わせではないけど、点と点が線になる感じがありました。
アナウンサーになったのはここ10年の話だし、なんなら私はその前の20年のほうが大事だと思っていて。社会人になってからの肩書による偏見の目があるけど、意外と自分が今ある肩書になる前の人生の方が自分の軸になっているものが多かったので、そういう意味では振り返ってよかったです。読んでいる方も自分を振り返ってみたら、何かのきっかけになるかもしれないですね。
(取材・文:高山美穂 写真:上野留加)
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