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鬼才パク・チャヌク監督 週52時間労働が定着した韓国映画業界は「望ましい方に変わっている」

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 韓国の鬼才パク・チャヌク監督の新作映画『別れる決心』が、17日に公開された。第69回カンヌ国際映画祭で芸術貢献賞を受賞した『お嬢さん』(2016)から約6年ぶりの新作となる本作は、礼儀正しく清廉な刑事チャン・ヘジュン(パク・ヘイル)と、ヘジュンが担当する殺人事件の容疑者ソン・ソレ(タン・ウェイ)が織りなすサスペンスロマンスだ。チャヌク監督の過去作と比べると、定評のある暴力的・性的描写が減り、テイストが異なるようにも感じられる本作。そのようなアプローチを取ったのはなぜなのか。チャヌク監督に話を聞いた。

【写真】触れていないのにドキドキさせる 『別れる決心』芸術センス光る場面カット

暴力的・性的描写を抑えた理由

 “復讐三部作”と呼ばれる『復讐者に憐れみを』(2002)、『オールド・ボーイ』(2003)、『親切なクムジャさん』(2005)などで知られるように、チャヌクは、巧みなストーリーテリングと、過激な暴力的・性的描写で魅せる監督として名をはせてきた。

 ところが、今回の『別れる決心』は、直接的な暴力的・性的描写を抑えながら、ヘジュンとソレの濃密で官能的な関係を映し出す。一見、方向転換したようにも見えるが、本作についてチャヌク監督は「今までもそうであったように、今回もまた新しい“愛の映画”を作りました」と話す。

『別れる決心』場面写真 (C)2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED
 「本作が完成した後、『“愛の映画”を作りました』と言ったら、そこにいた皆さんが笑いました。でも、私は決して冗談で言ったわけではなく、『オールド・ボーイ』や、『渇き』(2009)、『リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ』(2018)など、これまで作ってきた作品の大部分には、“いろんな形での愛情”が盛り込まれています」。

 「なぜ『愛の映画だ』と言ったら笑われるのか。それを数年前から考えてみたところ、私の作品は、暴力やエロティシズムなど肉体的な表現が強すぎて、観客は内面的な愛情やロマンスの部分を忘れてしまうのだろうという結論に至りました。だから今回の『別れる決心』は、肉体的な描写を抑えて作ってみたんです」。

 しかし、意図して過激な暴力的・性的描写を削いだにもかかわらず、ヘジュンとソレには、官能的なムードが漂っているのが、本作の不思議なところ。チャヌク監督は「『愛してる』や『I LOVE YOU』を発さないラブストーリーを作りたかった」そうで、話を聞くうちに、その絶妙なさじ加減が、さまざまな才能が重なり合って生まれたことがわかってきた。

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“繊細さ”を生み出すプロセス

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