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「今は文化革命の時期」イ・ビョンホンが憂う劇場の危機と、それでも信じる映画の力

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イ・ビョンホン クランクイン! 上野留加

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パク・チャヌク

 映画『MASTER/マスター』以来9年ぶりの来日を果たした韓国映画界の至宝イ・ビョンホンが、巨匠パク・チャヌクと25年の時を経て放つ『しあわせな選択』が公開を迎える。本作は、再就職のためにライバルとなる3人の候補者を排除しようと企む男・マンスの狂気を描いたサスペンスだ。ブラックユーモアと深遠な寓意が交錯するこの野心作で、ビョンホンはいかにして常軌を逸した精神と向き合い、その魂を削り出したのか――。また昨今の映画を取り巻く環境のなか、自身が感じている思いを語った。(※インタビューの中で、本編の内容に触れています。ご了承の上、お読みください。)

【写真】ダンディな魅力あふれるイ・ビョンホン 撮り下ろしカット(7点)

■25年の渇望と、理性を超えた狂気への没入

 名優イ・ビョンホンをして「一筋縄ではいかない」と言わしめた難役。しかし、その困難への入り口は、長きにわたり待ち望んだ映画作家との再会という歓喜から始まった。四半世紀という時間は、二人の才能が再び交錯するための助走期間だったのかもしれない。

 「パク・チャヌク監督と25年ぶりにご一緒できること、映画を共に作れることが何より嬉しかったですね。いつも作品を共にしたいという思いはありましたが、互いの日程が合わず諦めることもありましたから、今回ようやく念願が叶ったことには大きな喜びを感じました」。


 再会の喜びも束の間、彼を待ち受けていたのは、既存のジャンル分けを拒絶するかのような多面的な脚本と、常識の範疇を超えた主人公・マンスという存在だった。演じる喜びと、果たしてこの複雑な感情を体現できるのかという緊張感。相反する思いが、俳優としての本能を刺激する。

 「マンスというキャラクターは、一言でジャンルを定義できないこの映画そのものを体現しています。人間が持つ様々な感情が複雑に絡み合っている。それを自分自身が演じきれるのかという緊張と同時に、未知の領域に挑戦できるというワクワク感も非常に大きかったです」。

 人間の多面性を演じることは俳優の特権であり幸福だ。だが、マンスが下す決断――「ライバルがいなくなれば、仕事は手に入る」という行為は、あまりにも飛躍している。役との距離を縮めるための“説得”のプロセスは、想像を絶する苦闘となった。

映画『しあわせな選択』場面写真 (C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED
 「俳優として最も苦労したのは、自分自身がこのキャラクターに完全に説得されなければならなかった点です。新しい職場を得るためにライバルを消すことを決意する。果たしてそんな人間が世の中に何人いるでしょうか。理解し、納得するまでにかなりの時間を要しました。撮影中も監督と一番多く話し合ったのはまさにその部分です。誰しも切迫した状況で『ライバルさえいなければ』と想像することはあるでしょう。しかしマンスはそれを実行に移した。その極端な選択を理解し、自分のものにする過程は困難の連続でした」。

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■殺めたのは「自分自身」――巨大な隠喩の中で

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