野村周平、NY留学が転機に スルースキルを身につけ迎える30代は「より自由に生きる」
モラハラ夫にパワハラ社長など、今年の野村はクセのある役柄で強烈な存在感を示している。次第にそのキャラクターの心の闇や葛藤が顔をのぞかせるなど、どちらも単なる悪役ではなく、野村が厚みと人間味あふれる人物として演じていたのが印象的だ。
野村は「“こういう役をやっていこう”と思ったわけではなく、頂ける仕事をやっていた結果」と個性的なキャラクターを演じようと特に方向転換を図ろうとしたわけではないと明かしつつ、「確かに、人生経験を積んだからこそできる役かもしれません。新人や駆け出しの頃だったらできないような役」としみじみ。「先日、クロちゃんは“クズ役は、賢くないとできない”と言ってくれました」とうれしい感想もあったというが、野村は「モラハラやパワハラ、クズといった言葉に引っ張られず、どんな役でも常にリアリティを追求しています」と持論を語る。
2009年に16歳で芸能界デビューし、数々の青春&恋愛映画やドラマで活躍してきた。今年11月に30歳という人生の節目を迎える野村だが、映画『純平、考え直せ』(18)ではチンピラ役を担うなど、年齢を重ねるごとに演じる役柄の幅を広げてきた。
「僕は“イケメン俳優”という肩書きで呼んでもらったこともありますが、イケメンの役だったら若い人の方がいいに決まっているし、やっぱり次第にそれだけではやっていけなくなりますよね。そもそも、自分ではイケメン俳優だとは思ったこともないし」と破顔し、「となると今回のクロちゃん役のようなコミカルな役など、バラエティに富んだ役をやっていったほうがいいはずですよね。そう考えて仕事や役を選んでいたわけではなかったんですが、自然と周囲が“こういう役もやってくれそう”と思ってくれたのか、気付いたらクセのある役が多い」と楽しそう。「僕は何でもやりますよ」と覚悟をにじませる。
■スルースキルを身につけた30代のモットーは「自由に生きる」
20代を振り返り、野村にとって転機となったのが2019年から1年間を過ごしたアメリカ留学だという。「ニューヨークに行って、他人のことを気にしなくなりました。自分自身のことに集中して、生きるようになりましたね。自己肯定感の塊でありつつ、さらに言えば“それはダサいんじゃないか”“ダサいことはやめよう”と自己解決もできるようになった。ニューヨークって、街を歩いていてもみんな自分のことを第一に考えて、精一杯自分の好きなことをやっていることが分かるんです。それって最高だなと思いました」。
そんな野村の30代の抱負は、「これまでもそうですが、より自由に、ハッピーに生きること」だ。「誰かに否定的なことを言われたとしても、怒らずに“そうだよね、じゃ!”とスルーする。ある程度のことであれば、笑って見過ごせるようになったかなと思います。それって自分のやりたいことや好きなことをきちんと持っているからこそ、できること。真剣に怒るエネルギーは、好きな人や大事な人が道を外した時などにとっておきたい。自由に生きるためには、そういった断捨離をしていきたいなと思っています」と晴れやかな笑顔を浮かべる。
飾らず、のびのびとした素顔もなんとも魅力的な野村周平。これからもどのような姿を見せてくれるのか、大いに楽しみだ。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)
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