福士蒼汰&松本まりか、勢い増す現在は「すごい成長期」 “分からない”難役への挑戦語る

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福士蒼汰と松本まりかが、映画『湖の女たち』にてW主演で初共演を果たした。高い評価を得た男女逆転『大奥』(NHK総合)や、1月期放送の主演作『アイのない恋人たち』(ABCテレビ・テレビ朝日系)をはじめとした俳優業に留まらず、WOWOWのアクターズ・ショート・フィルム4「イツキトミワ」で脚本・監督デビューを飾った福士と、現在放送中のドラマ『ミス・ターゲット』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で全国ネット地上波GP帯連続ドラマ初主演の松本。ともに勢いを増すふたりは、「自己表現のアンテナが増えている」「いま成長期」と頼もしい言葉を口にした。
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■福士「嫌われてるだろうなと」松本「嫌いだった。でも惹(ひ)かれるんです」
『湖の女たち』は、『悪人』『怒り』の作家・吉田修一の原作を、『さよなら渓谷』以来のタッグとなる大森立嗣監督が映画化したミステリーだ。湖畔の介護施設で起きた100歳の老人の不審死事件をきっかけに、人間の本質が炙り出されていく本作。福士と松本は、刑事(圭介)と取り調べ相手(佳代)としてめぐり合い、支配する側と支配される側という、ゆがんだ関係を深めていく。
――福士さんと、松本さん、お互いが対峙したからこそ生まれたもの、感じたものを教えてください。
松本:みなさんもそうだと思いますが、福士くんは、キラキラした爽やかなイメージでした。圭介はあまりにも違うので、最初、福士くんがどう演じられるのか分からなかったんです。でも最初に取り調べのシーンで対峙した瞬間、「これは!」と思いました。本当に素晴らしかったんです。ゾクゾクっとした感じとか、今まで見たことのある福士くんのイメージとは全然違っていて、変な言い方になりますけど「こういったお芝居の引き出しを持っている人なんだ」と。心をつかまれましたし、ただただ怖かったです。
福士:役柄ではあるのですが、嫌われているだろうなと思っていました(笑)。
松本:そうね、嫌いだった。
福士:あはは。
映画『湖の女たち』場面写真(C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会
松本:嫌いなんだけど、どこか惹(ひ)かれるんです。全然好きじゃない、好きじゃないんだけど、もう惹(ひ)かれてしまっている。そういったものが常に同居していました。好きとか嫌いとかを超えた、もっと本能的に、この人に惹(ひ)かれるか惹(ひ)かれないか。今回の圭介という存在と出会って得た、初めての感覚でした。
福士:今回、現場で松本さんと一切会話をしなかったんです。普段は共演者やスタッフの方々と積極的に話すタイプなのですが、今回は違いました。覚悟を持って臨んだ分、お互いに甘えてはいけないという感覚があって。いつものように笑顔を見せたり話しかけたりしたら、圭介は完成しない気がした。でも本来の僕はそうではないので、たまに笑いかけたくなってしまう瞬間もありました(笑)。
松本:あったんだ!
福士:それをぐっと堪えて、圭介でいるというか、サディスティックでいました。意地悪なんだけど、まりかさんにだけ笑顔を見せずにいましたね。大森監督やスタッフさんとは普通にいつも通り話してたんですけど。
松本:確かに!
福士:嫌われることを覚悟の上で、あえてそうしていました。
松本:とてもサディスティックなんだけど、すごく色っぽくて。いまの福士くんが嘘なんじゃないかと思うくらい。でもそれが本当に魅力的だった。特に最後の湖のシーンとか。
水にぬれた風のヘアメイクをして撮影することもできるけど、それではお互いに納得いかない気持ちがあって。それを直接確認し合ったわけではなかったのに、福士くんが察知してくれて、私を湖に沈めてくれたんです。
福士:沈めたというと、語弊がありますが(笑)。
映画『湖の女たち』場面写真(C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会
松本:でもそのサディスティックさは、佳代が求めていたし、私自身ももはや求めていたんですよね。圭介からの発信というよりは、強烈に佳代がサディスティックさを求めていた。そういう共依存関係が多分私たちの間にもあって、笑顔を見せないでと私は思っていたし、福士くんは見せなかった。キャッチし合っていた気がします。
福士:あの瞬間は、完全に圭介と佳代の関係になれていたと思います。