高畑充希&清水美依紗 大ファンのシンシア&アリアナの吹替は「本当に難しかった」
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高畑:収録は本当に難しかったです。シンシアとわたしとでは骨格が違うので、やっぱり出る声も異なるんです。ただ、もともとシンシアへのリスペクトがすごくあったので、最初から似せることを意識していないというか、似せられるわけがないと思っていて…。どんな風にお芝居しようかなと悩んだ部分もあったのですが、お芝居の部分と歌の部分のそれぞれに監督さんがついてくださったので、相談しながら収録を進めていきました。「セリフを言う時は、シンシアに似せようとしないで、高畑さんにとってのエルファバで演じてみてください」とおっしゃっていただけたので、“すごく頭が良くて強く、繊細”というエルファバの魅力と向き合って、お芝居ができました。歌の部分は、リップシンクやフェイクの位置を厳密に合わせていく感じだったので、声を似せるというよりかは、ニュアンスや呼吸を参考にさせていただきました。
高畑充希
清水:グリンダは、自分が信じたものを、ぽんぽんぽんぽんと口に出して言っちゃうような、ちょっと軽いところがあるんですけど、憎めなくて、すごく愛らしいキャラクターなんです。でも、悪気がないことを分かった上で演じてしまうと、皮肉を含んだニュアンスで聞こえてしまうんですよね。「上から目線になっているよ」とフィードバックをいただいたこともありました。なので上からではなく、説得するように「大丈夫よ、あなたはこうだもんね」という風にお芝居をしてほしいと言われた時は、すごく新鮮でした。わたしの中のグリンダのイメージがちょっと変わった瞬間でもあって。これまでにも、いろんな方がさまざまなグリンダを舞台でも演じられているのですが、今回の映画のグリンダはすごく優しくて、だけど少し配慮が足りないところもあって…。そんなグリンダを演じられたのは、難しかったけど楽しかったです。
――ご自身の中での評価はいかがでしょうか? 満足のいく仕上がりでしたか?
高畑:時間があれば、もっともっと上を目指したいと思った収録でした。最後まで収録してから、もう一度最初に戻ってもらったこともあって。
清水:分かります…!
高畑:普段から声優さんのお仕事をしているわけではないので、この音はこんな風に聞こえるんだとスキル面での発見ばかりの吹替でした。多分完全に満足は一生できないかもしれません…(笑)。その時のできる限りを一生懸命にやってみました。
――試行錯誤を繰り返した収録だったんですね。予告編だけでも胸躍ったので、個人的にはパート2となる『ウィキッド:フォー・グッド(原題)』の吹替も今から楽しみです。さて、『ウィキッド』といえば、やはり音楽が大きな魅力です。歌と生きるお二人にとって、本作の音楽に、どんな思いがありますか?
清水:すごく迫力があって、それぞれの曲にそれぞれのキャラクターの心の動きが繊細に表れているのが魅力だと感じています。サウンドトラックを聴いていただくと分かるのですが、1曲目の「ノー・ワン・モーンズ・ザ・ウィキッド」のイントロの時点で、わたしは泣きました(笑)。会見の時も、ずっと泣きそうになりながらしゃべっていました。それくらいこの作品の音楽の力ってすさまじいものだなと思います。
高畑充希&清水美依紗
――サウンドトラック、手放せないですよね。高畑さんには大きな見せ場の「ディファイング・グラヴィティ」についてもお伺いしたいです。
高畑:「ディファイング・グラヴィティ」は、歌っているだけで、なんだか飛べているんじゃないかって思わせる力があると思うんです。セリフだけで「わたし飛んでる!」「何者にも邪魔させない」って言うよりも、メロディーとオーケストラがあることで、本当に飛ばせてもらっているという感じがします。ただ話すよりも圧倒的に感動を引き上げてくれるパワーがあるので、頭の中ではほうきに乗って飛んでいました(笑)。映像もすごかったですし、「ディファイング・グラヴィティ」ももちろんなのですが、クライマックスに向けての音楽の畳み掛けもすごくて。目からも音からも圧倒されて、最後には放心状態になってしまうくらい素晴らしい作品なので、ぜひ劇場で浴びていただければと思います。
(取材・文:阿部桜子 写真:高野広美)
映画『ウィキッド ふたりの魔女』は全国公開中。