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三谷幸喜、田中圭は「すごい人」 12年ぶり人気シリーズ新作に「日本で最もふさわしい」と語る所以

ドラマ

■「何を面白いと思うか」根っこの部分は変わらないし、揺るがない

――ワンシーンワンカットシリーズが12年ぶり、東京サンシャインボーイズは“30年の充電”期間を経て復活公演(『蒙古が襲来』)をしたばかりです。大きな復活劇が続いていますが、また大きな、久々の挑戦はありそうですか?

三谷:今年の夏にやる文楽(『人形ぎらい』)も13年ぶりです。ただ、このタイミングでこれを、という狙いは特になくて、たまたまというか、上がってきた企画を順番にやっている感じです。サンシャインボーイズの30年も、僕としては最初、そんなにすごい熱量だったわけではなかったんですが、当時やっていたものをまたやるのも面白くないし、それで新作をやることにしたんです。

『ドラマW 三谷幸喜「おい、太宰」』ポスタービジュアル(C)WOWOW
――年齢やキャリアを重ねてきたことによる変化を感じることはありますか?

三谷:30代で書いていたようなコメディは、体力的なことだってあるし、やっぱり書けないと思います。単純に、徹夜仕事をしたら疲れる。今できるものの中で、一番面白いものを作るという方向に変わろうとしている感覚はあります。ただ、自分が「何を面白いと思うか」という根っこの部分は変わらないし、揺るぎません。自分が面白いと思っているものが、世間と乖離(かいり)したらと想像すると怖いですけど、今はまだそうではない気がします。でも、実は最近悩ましいこともあるんです。

――というと。

三谷:たとえば僕は昔からビリー・ワイルダーが大好きで『お熱いのがお好き』(1959)も何度も観ています。だけど、あの作品が現在に成立するのかというと、ちょっと難しくなってきている。マリリン・モンローの存在自体が、今の時代には難しい。ものすごく悲しいです。それとはまた違う意味で、シドニー・ルメット監督の『十二人の怒れる男』(1957)も、あれを今の若い世代に推薦して観てもらうと、「何が面白いのかわからない。ただみんなが議論し合っているだけだ」と、そこに面白さを見いだせなかった人たちが出てきていて、それも寂しいです。


――しかし三谷さんの根っこに揺るぎはないと。エネルギーの源になるものはなんでしょうか。

三谷:俳優さんです。僕は俳優さんが好きですし、俳優さんの良さ、僕が知っている面白さをみんなに伝えたい。それが出発点です。新しい面白い俳優さんに出会ったら、その人と何かやってみたいと思うし、そこで「この人ってこんな面白いところがあるんだ」と発見したら、それをまた生かして次の作品を作ってみたくなる。その思いが僕を先へと進めてくれています。

(取材・文:望月ふみ 写真:松林満美)

 『ドラマW 三谷幸喜「おい、太宰」』はWOWOWにて6月29日22時放送・配信。

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