『鬼滅の刃』下野紘&松岡禎丞が語る、魂のぶつかり合いと心に刻まれた戦い
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――炭治郎・善逸・伊之助の関係性について、今あらためて感じることは?
下野:善逸にとって、炭治郎や伊之助はもう友達や親友という枠を超えた存在なのではないかなと思います。「刀鍛冶の里編」で善逸が登場するシーンでは、他の隊士たちと一緒に任務に行くのを、「嫌だ、行きたくない!」と騒ぎながらも、口にするのは炭治郎、伊之助、そして禰豆子ちゃん(「禰」は「ネ+爾」が正式表記)の名前でした。彼らと一緒にいることが善逸の中で“当たり前”になっているのだと感じて。
その絆はもう、家族や兄弟に近いのかなと思うんです。炭治郎と伊之助には、善逸なりの信頼や愛情がしっかり根付いているのだなと。
善逸は、ふたりに対して本当に遠慮がないですよね。ツッコミを入れたり、わーわー騒いだり、ときにはケンカみたいになることもありますが、それはつまり“心から安心している証拠”なんじゃないかと思うんです。気を使わず、素の自分でいられる関係は、実はすごく貴重で、そう簡単には築けないものです。だからこそ、彼らの絆は本当にあたたかくて、強いのだなと、あらためて思います。
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』場面写真(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
松岡:そうですね。僕も炭治郎の“お兄ちゃん力”は、すごく大きいものだったのではないかなと思います。ただ優しいだけではない。叱るときは叱るし、見守るときはそっと寄り添う。まるで親のような存在でもあります。
そんな炭治郎のあたたかさに触れることで、伊之助もどんどん変わっていった。野生児だった彼が、少しずつ人の心を学び、成長していく姿は本当に感慨深いものがあります。
ただ面白いのが、炭治郎は実は知らないことも多くて。そんなときに頼りになるのが善逸で。意外と博識なんですよね。
下野:そうそう。印象的には炭治郎が一番しっかりしてそうなのですが、伊之助と同じく山育ちだからか、知らないことが案外多くて。
松岡:汽車を初めて見たときも、伊之助が「この土地のヌシ」とか言い出して、炭治郎も「守り神かもしれないだろう」と。その言動に対して、善逸がツッコミを入れる構図も、すごく面白くて好きです。
そんなやり取りも含めて、僕の中で炭治郎たち三人はもう“家族”のような存在だと思っています。生まれも育ちも違う。ですが、互いを受け入れ、支え合い、信じ合っている。その姿は、まさに“絆”そのものだなと感じています。
(左から)松岡禎丞、下野紘
(取材・文・写真:吉野庫之介)
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、全国公開中。