南琴奈、人気監督からの抜擢続く19歳 “悔しさ”が芝居の面白さに目覚めるきっかけに
――テレビドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』も先月最終回を迎えましたね。
南:まさかこんなにスポットが当たるような役になるとは思っておらず、脚本を読ませていただいたときは自分でも本当にびっくりしました。1話と10話では心情が全く違っていますし、展開もスピーディで感情の振れ幅が相当難しいだろうなと感じて、撮り終わった直後は不安でしたが、プロデューサーさんから「良かったよ」と言っていただけて安心して最終回の放送を待てました。「ぼくほし」の現場は、磯村勇斗さんが大きな背中でなんでも受け止めてくれて、平岩紙さんの前では自然と素直になれました。おふたりが役柄同様でいてくださったから、私も安心して演じられました。
――『ミーツ・ザ・ワールド』では、杉咲さんからどんなことを吸収されましたか?
南:現場の立ち振る舞いもそうですが、作品に対しての熱量でしたり、どこまで役への理解を深められるかをどこまでもやる方でした。そのパワーを近くで感じられたのはとても大きかったです。
映画『ミーツ・ザ・ワールド』場面写真 (C)金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会
――杉咲さんは支度部屋などでお話しされている時と、本番ではガラッと雰囲気が変わられていたのでしょうか。
南:現場に入ったら切り替えられているんだろうなと思う瞬間はありましたが、いつでも気さくに話しかけてくださいました。撮影の合間なども笑いながら話していましたし、本番直前でスッと入り込まれる方でした。
――南さんご自身はいかがでしたか?
南:がっつり切り替えるということはなかったように思います。ライはつかみどころのない役ですから、演じる私自身がしっかりつかめてしまうのは違うかなと思っていました。そのため「役に入る」という感覚はそんなになく、杉咲さんが由嘉里でいてくださったから自然とライになれた感覚です。
――松居監督からは南さんがNGを出すことがなかったと伺っています。ホンが完璧に頭に入った状態で臨まれていたかと思いますが、セリフなども入れやすかったのでしょうか。
南:そうですね。オーディションの時もそうですが、セリフを覚えて言っている感覚にはなりませんでした。今までは「これを覚えて、この後にこのセリフを言って……」と頭のどこかで考えているところがありましたが、今回に関してはするっと入ってきました。初めての感覚で、自分でも不思議でした。
――相性が良かった、ということなのでしょうか。
南:そうかもしれません。現場の居心地が良すぎて、本当にのびのびとやらせていただいたことも大きかったのではないかと思います。