井之脇海、30歳になって生まれた変化「自分が繋いでいけるものを意識するように」

――演出の白井さんからは何かお言葉はありましたか?
井之脇:「大変だよ」とだけ言われました(笑)。白井さん自身もとても素敵で誠実な方なので、僕らキャストが持つものと合わさってあらぬ方向に行けたらいいなと期待しています。
――白井さんの作品にはどんな印象をお持ちですか?
井之脇:観客として劇場に足を踏み入れた時に、まず舞台美術がカッコよくて。スタイリッシュといいますか、派手じゃないのに美しく決まっていて、緻密にいろいろな計算がされているんだろうなといつも感じます。
その上で、お芝居もそれぞれの役者の特性を最大限活かした演出をなさっていると感じます。自分の魅力をちゃんと引き出してくれて、それがちゃんと役とマッチしていくので、役者もすごく楽しいんだろうなって思いますし、いいなぁと思って観ていました。演劇界において天上人なイメージもあるので、いつかご一緒できたらという憧れはありましたけど、今回いざ演出を受けられるとなり、僕も気づいていないような魅力を引き出してもらえたらうれしいですし、僕も食らいついていきたいと思っています。
――3人芝居ということで、セリフ量も膨大になりますが、そこへの不安はありますか?
井之脇:近年割と少人数の演劇をやってきたので、そこは正直何の不安もなくて。セリフ量という意味ではいけるんじゃないかと思っています。ただ、難しい役ですし、欲望の塊のようなものを抱えながらも、どこか楽しそうにというか、皮肉の効いたコメディとしても成立させていかなきゃいけないというバランスは大変だろうなと思います。それを3人で見せていかなきゃいけないということに対するプレッシャーはありますね。

――主演映画『君は映画』の公開も6月に控えるなど映像作品でも大活躍の井之脇さんですが、舞台とはどういう存在ですか?
井之脇:映像は映像で大好きですし、映像作品には監督のカット割りや演出の中でどう人物を見せていくかという面白さがあります。
でもお芝居は2時間ぶっ通しの中で、板の上に上がっちゃえばただ芝居のことだけを考えられるというか、どっぷりと芝居に浸かれる。それはより深く演技に向き合える時間であり、いろいろ探せる時間であるので、僕にとって必要なものなんです。
どの公演も同じセリフを言っていますけど、毎回違う感覚があって。毎回新しい発見や、新しい感情、心の動きが出てきたりする。稽古で「この点は通りましょうね」っていうルールを決めるけど、その点をどう通るかは自由でもあると思うので、毎公演新鮮に楽しめるのがいいですよね。
――10年前の井之脇さんのように、井之脇さんが演じるオリーに衝撃を受けた若い俳優さんが将来この作品に出演するかもしれません。
井之脇:演劇のいいところはそういうところにもありますよね。シェイクスピアや古典のものもいろんな人が演じてどんどん繋いでいくというのが必要ですし、観てくれる人にそういう影響を受け取ってもらえるように頑張りたいです。

