ベン・スティラーにインタビュー 偶然出会った大物俳優から受けたアドバイスとは？
映画
ウォルターが、唯一自分を評価してくれるカメラマンと出会う舞台、それがアイスランド。ここはベンにとって本当に忘れ難いロケ地になったようだ。「アイスランドは素晴らしかったよ。オーロラから白夜、氷河に山々、黒砂の海岸まで、まるで別世界だった」と目を輝かせる。
さらに、「アイスランドでショーン・ペン演じるカメラマンとウォルターが初対面を果たすシーンは、僕が一番誇りに思っているシーンだ」と強調。「実はショーンがアイスランドに到着してから嵐が続き、3日間まったく撮影ができなかった。当時、ショーンのスケジュールがすごくタイトで、われわれに残されたのは最後の1日。まさにあのシーンは、失敗が許されない時間の中で『ワンチャンス』に懸けて撮り切った忘れられないシーンなんだ。映像にもその緊迫感があふれている」と述懐。映画全体の中でも重要な意味を持つシーンだけに、ベンにとってひときわ思い出深いようだ。
また、アイスランドでは、意外な俳優と偶然出会い、貴重な？アドバイスを受けたという。「ちょうど『ノア 約束の舟』の撮影をしていたラッセル・クロウに会ったんだ。彼は『がんばれよ。天気を支配することを忘れるな！』とアドバイスをくれたけど、僕は『天気を支配するって？ どうやってだ？』って最初、意味がわからなかった。でも、彼が言おうとしたのは、天候が急激に変化するから負けずにがんばれという意味だった」と振り返る。
まるでショーンとのシーンを予感していたような神がかりのアドバイス。いまから思えば、アイスランドの地で出会った偉大なる2大アカデミー賞俳優が、この映画にいろんな魔法にかけてくれたのかもしれない。
最後に本作を通してベンが最も伝えたかったメッセージを。「この映画は、瞬間、瞬間を大切にするということの尊さを教えてくれる。目の前にあるものは永遠に続かない、だからこそポジティブに生きることに意義があるんだ」と、熱い思いを言葉に乗せる。さらに、「いろんな経験によって人は変わっていくもの。だから、将来のことは予測できない。ただ、『トロピック・サンダー／史上最低の作戦』で意気投合したロバート・ダウニー・Jrとは、いつかまた、一緒にコメディを作りたいと思っているよ」と、ファンにはたまらない構想（いや空想か？）を語ってくれた。（取材・文・写真：坂田正樹）
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