GACKT、「俳優」を続ける理由は緒形拳への想い

音楽活動にとどまらず、俳優としても大河ドラマやハリウッド映画出演など幅広いジャンルで活躍し、様々なメッセージを発信し続けているGACKT。そんな彼が出演する最新作が恩田陸の小説「夢違」を原案にテレビドラマ化された『悪夢ちゃん』の劇場公開版『悪夢ちゃん The 夢ovie』だ。本作で夢研究分室准教授・志岐貴を演じたGACKTに「俳優」を続ける理由や、本作に込めた思いを聞いた。
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メッセージ性の強い楽曲で多くのファンを持つアーティストGACKT。一方で、NHK大河ドラマ『風林火山』では上杉謙信、ドラマ『テンペスト』では辮髪(べんぱつ)姿の宦官・徐丁垓を演じるなど役者としても、その存在感を存分に発揮しているが「表現することにおいて、音楽と演じることがすごく違うかというとそうではないと考えてます。でもやっぱりボクはミュージシャンなんですよ」と胸の内を明かす。
そんなGACKTだが、俳優という仕事を続けているのには大きな理由があるという。「(大河ドラマ『風林火山』で共演した)緒形拳さんからいろいろなことを教えていただき、すごく影響を受けました。ボクにとっては父親のようであり、師のような存在。彼がいてくれたおかげで、自分が今こうやって演技をしている。彼が亡くなったからといって、ボクが役者をやめてしまったら、教わったことがそこで消えてしまう。また彼から学んだことが本物であることを証明するためには、演技を続ける必要があるという想いが強いんです」。
緒形拳さんの魅力を「演じるとは演じないこと」と表現したGACKT。近くで接して緒形さんの演技に強い影響を受けたという。「演技ってやればやるほど、わざとらしくなるというか、人を魅了できない感じになる。自分の内側から自然と出せるようになってこそ演技なのではないのかな」。
「演じる技を磨いていく」ことを続けていく中で、本作はGACKTにとってどんな位置づけを持つのだろうか。「ボクが演じた志岐貴というのは、不完全な存在。研究を完成させたいという欲求を満たすためだけに動く。大人になりきれない大きな子ども。そんな感情を欠落させた状態から、色々なものを吸収して成長していく姿を表現していきたいと取り組みました」。志岐の成長は、物語に込められたメッセージへとリンクする。「親だからといって大人じゃない人はいっぱいますよね。そんな親が子どもたちに『ああしろ、こうしろ』って言うと子どもは敏感に反応し、ストレスを感じる。大人だって完全じゃない。子どもたちに上から目線で押し付けるのではなく、良い距離感でパートナーとしてやっていくことが大事だということに気づいてもらえれば嬉しいです」。