稲川淳二「異次元、非日常でした」と振り返る 『稲川怪談 かたりべ』は役作りナシ
「これは面白かった、すごく斬新です。まさに監督が考えているような、A地点からB地点へ空間が移動してしまうような、そんな感じの映画です。私は撮ってて怖いというより不思議でした。撮ってる最中が異次元というか。でも、怪談っていうのは日常から非日常へ変わる、その状況が怪談ですから、あの撮影はまさに異次元、非日常でした」。
稲川が行う「怪談ツアー」は22年目に突入し、通算540公演、観客動員も44万人を記録。どうして人は怖い思いをするにも関わらず怪談を聞きたがり、また惹かれるのだろう。
「毎年毎年冬が来ると、『おっかねぇ』って言いながらも同じ話を爺ちゃん・婆ちゃんから聞く訳です。そうすると、爺ちゃん・婆ちゃんの思い出がそのまま怪談になっている。だから怖い話のはずなのに、なぜかそこに故郷がある。これが怪談だと思います」。
怖さだけにとどまらず、そこに悲しさやあったかさ、そして生きていく上での教訓がある。
「違った意味で見ると、私自身が完全に怪談だもんな(笑)。でも、この映画は怪談の世界で言う“新しい次元”に入り込んでます。映画を超えてます」。
夏は終了、だが稲川怪談のシーズンはまだまだこれからだ。(取材・文・撮影:しべ超二)
『劇場版 稲川怪談 かたりべ』は9月20日公開。