YOSHIKI「僕らはうぬぼれていた」 Toshlの洗脳、HIDEの死で気付かされた現実

「乗り越えたわけじゃない。傷は一生消えない。でもこの映画で共存していく術を見つけたのかな」。YOSHIKIは、自身がリーダーとなり歩んできたバンドX JAPANの歴史を紐解くドキュメンタリー映画『WE ARE X』についてこう答えた。世界への挑戦、脱退、解散、HIDEとTAIJIの死、Toshlの洗脳…そして復活。結成30年を超えて、今なお熱狂と狂乱を生み出すロックバンドX JAPAN。そのリーダーとしてあまりにも壮絶な人生を体現するYOSHIKIに、なぜ映画を制作したのか、なぜここまで人生をファンとX JAPANに捧げるのか…。YOSHIKIにその思いを聞いた。
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「今、僕らX JAPANは進行形ということもあって、(映画を制作することで)人を助けることができるのではないか、生きる希望を与えることができるのではないか、という意見を聞くようになり、段々と(映画を)作ろうという考えに変わってきました」と、本作の制作経緯を明かしたYOSHIKI。20年以上前からドキュメンタリー制作の打診があり、ラストライブ含めX JAPANの映像は残してはいたものの、YOSHIKI自身、過去を映像として振り返ることができず「できない」と断っていたのだという。それが、X JAPANの再結成で考えに変化が生まれた。
よくあるミュージックドキュメンタリーにはしたくなかったというYOSHIKI。「僕達の使命というか、これまでに経験したものがあったので、それを形にしようというところから始まったんです」と語る。本作を制作するうえで、YOSHIKIは過去について何度も話をしたという。「僕も最初はぎこちないというか、うまくしゃべれなくて…。聞かれたことについて黙ってしまい、中断したり…。なかなか核心にたどり着くことができなかったのですが、時間を掛けて何度も話をしました」。
繰り返し取材を受けることで、「語りたくない気持ちをあえて話すことで、それを乗り越えられるんじゃないかと思うようになっていき、その過程が僕にとってのセラピーになり、浄化されるような気持ちになりました」と話す。「最終的には、過去への扉を全部開けてしまったんですけどね(笑)」と、茶目っ気たっぷりに答えた。