前田敦子、独自のスタンス「制限を設けてしまうことは、人生の損」
現在の自身の活動について「とても充実しています」と笑顔で語った前田。本作でメガホンをとった冨永昌敬監督についても「こんなに早くご一緒できるとは思っていませんでした」と“縁”に感謝を述べる。劇中では、柄本祐演じる末井の妻・牧子を演じているが「祐さんは人として大好きなのですが、役者さんとしての佇まいも素敵です。計算してお芝居をするのではなく『僕はそこにいるだけです』というだけで、役柄を成立させてしまう方。本当にすごい俳優さんです」と映画初共演の印象を語ると、自身の芝居の方向性も見えてきたという。
「いま舞台(『そして僕は途方に暮れる』)の稽古をやっていて、いろいろと知らないテクニックを教えていただいているのですが、演出家の三浦(大輔)さんから『前田さんにはこうしたテクニックは覚えてほしくない。手慣れた人たちが出せないような生々しさが武器だと思う』と言っていただけたんです。私自身もテクニックはないと思っていましたし、お芝居というのはすべて嘘なのですが、自分の心にまで嘘をついたら、心ここにあらずになってしまう。いまは自分の気持ちを拠り所にやってみようと意識しています」。
冨永監督からは、面白い演出は受けたものの、牧子の心に対しては、何も触れられなかったという。前田自身が「自分の心のなかで嘘のない芝居」で挑んだ牧子という女性。「末井さんと牧子はシンプルにつながっていて、第三者が入ってこない関係。いまの時代、外からいろいろなものが入ってくるので、こうした関係はなかなか成立しないと思うのです。だからこそ二人で完結する夫婦のつながりを観てほしいです」と語っていた。(取材・文・写真:磯部正和)
映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』は全国公開中