芸能生活30周年・裕木奈江、13年ぶりのライブで涙
90年2月に「硝子のピノキオ」でCDデビュー。以後シングルを全9枚、アルバムはベスト盤含め7枚をリリースしている。「プロデューサーの酒井政利さんに誘われ、いきなり筒美京平さんの曲や、松本隆さん、秋元康さん作詞の曲だったりを歌わせていただいて。そうそうたる方々の楽曲に恵まれ、すごく幸運でした」とその幸せを噛みしめる。
今回のライブにも多数のレジェンドが駆け付けたが、なぜ彼女はデビュー間もない頃から、普通は仕事を一緒にしたくてもなかなか叶わない超一流の人々に好かれたのだろうか。
「デビューがちょうどバブル期で、私みたいな田舎っぽい子がいなかったんですね。“3M”と呼ばれた牧瀬里穂さんや宮沢りえさん、観月ありささんとか、みんなデビューのときから洗練されていて…」と振り返る。「そんななか私は、地方から出てきて東京に慣れてないけど『がんばってます』っていうイメージで、そのシェアがすごく高かったのだと思います」と自己分析するが、裕木でなければならない圧倒的な理由がいくつもあったはずだ。
久しぶりのライブを終え、「長く愛してくださっている皆さんの愛が、ありがたいです」と感謝する裕木。30周年の一区切りを「大きな円をひとつ、描き切った感じなんです」と表現しながらも「このあとは気楽にいきたいですね」と楽しそうに語る。より自由に女優としてアーティストとして、彼女が描き始めるだろう次の新しい円が楽しみでならない。(取材・文:志和浩司)