吉田鋼太郎、“報われぬ恋”に苦しんだ2018年に「大変だった」
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『ヘンリー五世』には、シェイクスピア作品ならではの面白さがしっかりと詰まっている。主役こそヘンリー五世だが、彼の周りの人物たちも丁寧に描かれていく、いわば“群像劇”に近い作品だと吉田は語る。しかも王侯貴族だけでなく、兵士や侍女といったさまざまな階層の人が活躍するのも『ヘンリー五世』の特長だ。
「シェイクスピア作品のすごさって、“普遍性”なんです。『ヘンリー五世』にも戦争が出てきますが、今だって戦争はなくならないし、戦争を起こした人たち、実際に戦地で戦わなくてはいけない人たち、彼らを送り出す家族たち、戦場近くの街で犠牲になる人たち…そういう人たちがいる。昔の作家が書いているから関係ないや、とはならないんですよね」。
そしてこの普遍性こそが演劇の面白さでもあると、吉田が出演して話題になった『おっさんずラブ』を引き合いに出して語ってくれた。
「今年、日生劇場でフランスの古典を基にした『シラノ・ド・ベルジュラック』という作品に出ながら、ドラマ『おっさんずラブ』を撮影していたんですよね。それはそれでなかなか大変だったんだけど(苦笑)。でも『おっさんずラブ』を観て興味を持って舞台を観に来てくださった方もいたみたいで。片や現代の映像作品、片や100年以上前に書かれた海外戯曲ですよ」。
「それを同じように楽しめるというのもこの時代の良さだし、しかも両方とも“報われない恋に苦しむ”役だったという(笑)。同じなんですよ、面白いですよね。だからこそ『シェイクスピアかぁ、ハードル高いな』と思わず、ぜひ観に来て欲しいです。僕らも難しいものを作るつもりは全くないし、絶対楽しめると思います」。
そう語る吉田の表情は、今の自身の状況も面白がっているようにも見えた。(取材・文・写真:川口有紀)
彩の国シェイクスピア・シリーズ第34弾 舞台『ヘンリー五世』は、埼玉公演2019年2月8日~24日、仙台公演3月2日・3日、大阪公演3月7日~11日上演。チケットは11月17日10時より発売。