松岡茉優、同世代の“ライバル”女優たちに「負けられない」気持ちが活力に

子役からキャリアをスタートさせ、今では同年代の女優の中でも高い演技力を持つ一人として走り続ける松岡茉優。主演映画『勝手にふるえてろ』(2017)、『万引き家族』(2018)と好評価が続いている。新作となる、直木賞と本屋大賞を史上初めてダブル受賞した恩田陸の小説を実写映画化した『蜜蜂と遠雷』で、国際ピアノコンクールに挑む主人公の栄伝亜夜役に挑んだ松岡が、同世代の女優である“ライバル”の存在を語った。
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◇「亜夜はこういう演奏をする人なんだな」
『蜜蜂と遠雷』で松岡茉優演じる栄伝亜夜 (C)2019 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会
亜夜については、「原作にすべて書かれていた」という松岡。だが、実写だからこそ新たに生み出されていったこともあった。
「亜夜のピアノ演奏の音は、ピアニストの河村尚子さんによるものなのですが、河村さんの演奏を聴かせていただいたとき、自分の想像していた亜夜の演奏よりも、ずっとダイナミックで大胆だったんです。『あぁ、亜夜はこういう演奏をする人なんだな。この演奏を生かすには、日常のシーンは逆に体温をぐっと下げたほうがコントラストが出るのかもしれない』と考えていきました」。
◇自分を乗り越える――作品と共通する苦しんだ時期
演奏を軸にしつつ、人間ドラマでもある本作。亜夜は子どもの頃に起きたある出来事を乗り越えられぬままに、コンクールを迎えた。女優として日々戦いに挑んでいる松岡にも、自分を乗り越えられずに、苦しんでいた時期があったという。
「高校生のときには、作品の合間にいろんなものを吸収できていました。映画や舞台を観に行ったり、美術館に行ったり。でも、ありがたいことにお仕事をいただくようになって、そうしたことが物理的にかなわなくなって、余裕がなくなっていったんです。忙しいという字は“心を亡くす”と書きますが、まさにそんな状態で。周りの方に迷惑をかけましたし、なりたくない自分になっていました」と明かす。
しかし今は違う。
「仕事の体制を立て直したんです。私は誰かを演じるときに、性格はこの人、見た目はこの人、クセはこの人といった具合に、一人ではなく、何人もの参考人物からイメージをもらいます。そうなってくるとやっぱり勉強が必要。本を読み、映画や舞台を観に行って、美術館に行く。街に出て、人と話す。すべてが大切です。それがおととしくらいからまたできるようになりました」。
そうした機会を大切にすべく、同時期に撮影が重ならないようにとスタイルを変えていった松岡。インプットの時間が大事なのは、松岡が女優業に誇りを持っているからにほかならない。
「お金をもらってお仕事としてやらせていただいている身としてのプライドと責任があります。それに“私に”とオファーを頂いている。誰でもいいという人には絶対になりたくないので、いつも、最大限以上のことをしたいと思っています」。