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市川実日子「毎回、恥ずかしいと思うところから始まる」 変わらない女優業へのスタンス

映画

◆『アンナチュラル』『コタキ兄弟と四苦八苦』を経て感じた野木亜紀子脚本の魅力

 そんな市川が映画『罪の声』では、主人公・曽根俊也を温かく見守る妻役を熱演する。

 本作は、塩田武士によるベストセラー小説を原作に、日本中を震撼(しんかん)させた未解決事件の謎を描いたヒューマンミステリー。小栗旬と星野が2人の主人公を演じ、『逃げるは恥だが役に立つ』や『MIU404』(共にTBS系)で知られる野木亜紀子が脚本を担当する。

 市川と野木は、ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)、『コタキ兄弟と四苦八苦』(テレビ東京系)でもタッグを組んだ間柄。市川は野木作品の魅力を「声が出せない、声にもできない人たちを描いている」ことにあると分析する。

『罪の声』場面写真 (C)2020 映画「罪の声」製作委員会
 「この作品では、小栗さんが演じた阿久津英士が『とっくに時効になった、犯人グループは1円も手にしていない。まして、誰かが死んだわけでもない。いまさら掘り返す価値あります?』と訴えるシーンがありますが、実際には大変なことが起きていて、トラウマで人生が台無しになった人もいて、そういったさまざまな人たちの人生が描かれていきます。野木さんは、見過ごされている人の声をきちんと拾って膨らませる方だと感じています」。

 食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件、誘拐や身代金要求、毒物混入などの数々の犯罪が行われた凶悪事件を追う物語は、時に胸が痛くなるような辛辣(しんらつ)なシーンも描かれている。その中にあって、俊也と亜美、そしてその娘・詩織の曽根家の家族のシーンはホッとできる癒やしでもある。「曽根家はどんな空気感かなと思いながら、現場で3人で遊んでいました」と市川は振り返る。そして、「詩織ちゃんが男の人に人見知りする子だったんです。私にはニコニコと笑顔で話してくれるんですが、星野さんには人見知りをして、モジモジしていて…。だから、『ほら、お父さんだよ!』って星野さんのところに連れていったら、星野さんも人見知りしてて(笑)。そんな曽根家でした」と撮影時のエピソードも明かしてくれた。


 凛(りん)としたたたずまいの中に優しさや潔さを持ち合わせる市川には、その作品をキュッと引き締め、時に一息つかせる役どころがよく似合う。実力派俳優がずらりと並ぶ本作でも、その存在感はひときわ輝いて見えた。(取材・文:嶋田真己 写真:高野広美 スタイリスト:谷崎彩 ヘアメイク:草場妙子)

 映画『罪の声』は、10月30日公開。

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