悠木碧「楽しいを阻害したくない」 SNSの“ポジティブ発言”に込めた思い
日本が誇るアニメーションスタジオ・手塚プロダクションが制作を担当する長編アニメ映画『さよなら、ティラノ』が、12月10日より全国で公開。作品内でトリケラトプスの子ども・トプスを演じる声優の悠木碧は、本作について「性別も年齢も超えた友情物語」と語る。今回は、作品の見どころと併せて、子どものときから芝居と向き合ってきた彼女の考え方の変化について話を聞いた。
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本作の制作を担当したのは、アニメーションスタジオ・手塚プロダクション。『ジャングル大帝』なども手掛けてきた同プロダクションが描く恐竜について、悠木は「動物のアニメーションを描いてきた歴史あるスタジオさんなので、そこはひとつの注目ポイントだと思います」と画的な見どころをアピール。併せて「単純にキャラクターデザインが好きです。ティラノサウルスまでぷにぷにしていてかわいい。(主人公のひとりである)プノンちゃんが立ち上がった瞬間が、私的激写ポイント! お腹が丸くてかわいいです」と、一息に魅力を語った。
物語は、地上最強の肉食恐竜なのに獲物を狩ろうとせず、暗闇を怖がるティラノサウルス・ティラノと、翼が付いた恐竜なのに空を飛べないプテラノドンの少女・プノンの出会いから始まる。そんな2匹を地上唯一の楽園と呼ばれる“天国”へ導くのが、トプスだ。悠木はトプスについて「最初は本当に何もできなくて愛くるしい子。それでいて家族もいなくて孤独だったから、プノンが守ってあげなきゃと感じたんだと思います」とコメント。
一方、天国を目指しながらティラノやプノンの勇気・友情を見て成長していく姿については、「子どもが大人にではなく、自我の芽生えた赤ちゃんが子どもになるという感覚に近い気がします。何を見せたいのかが明確なキャラクターだったので、私は物語に乗っかるように演じました」と、トプスへの向き合い方と併せて言葉にした。
■先輩、家族に支えられてきた人生「生きているだけでお母さんが褒めてくれる」
本作ではそれぞれ悩みを抱えるティラノやプノン、そしてトプスが冒険の中で友情を育み、助け合いながら前に進む。悠木も、仕事・芝居では誰かに助けてもらいっぱなしだと語る。「本作もそうですが、レジェンド級のみなさんと一緒にマイク前に立たせていただく機会があります。そういう方々とも対等にお芝居をしたいのに、背伸びをしても足りないんですよね。でも、一緒にお芝居をさせてもらうことで底上げしてもらっている気がして。音響監督やミキサーさんなど音のプロにも助けてもらいっぱなしです。スタジオでは無力と感じながらも、みなさんのおかげで完成した作品ではよくなっていると実感できるんですよね」。
なお、本作でトリケラ村のケラおじいさん役として出演した石塚運昇さんも、悠木が長期の現場でお世話になった大先輩のひとり。2018年に亡くなった石塚さんの声を聞いて「グッときた」と彼女は、「運昇さんの声が劇場で響くんだと思ったら何だかすごくうれしくて。この肉声を聞いた瞬間は、きっと一生忘れることはないと思います」と言葉を振り絞る。
子役としても活動してきた彼女は、小さい頃は特に「家族の支えが大きかった」と続ける。「自分の価値について考え、子どもながら傷ついてしまったことがあって。それを母は真っ向から否定してくれました。たとえなんの価値もないと業界から言われたとしても、ママにとってはかわいい子どもだよって。今日も生きているだけでお母さんが褒めてくれると思うと、頑張れます(笑)。家族の存在は本当に大きいですね。家族を失ったトプスがほかの恐竜と関係を構築していくのは、きっとすごく大変なことだったと思います」。