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『極悪女王』白石和彌監督の時代劇への思いが結実! 戦場感がリアルな『十一人の賊軍』撮影現場に潜入

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◆白石和彌監督、鞘師里保に惚れ込む!


映画『十一人の賊軍』メイキング写真 (C)2024「十一人の賊軍」製作委員会
 本作は企画の成り立ちも、ドラマチックだ。1964年、脚本家の笠原が、憎き藩のために命をかけて砦を守らなければならない罪⼈たちの葛藤を構想。しかし当時の東映京都撮影所所⻑・岡⽥茂は物語の結末が気に⼊らずボツに。怒りに狂った笠原は、350枚ものシナリオを破り捨ててしまったという。そのプロットが見つかり、この度日の目を見ることになったのだ。

 白石監督は「笠原さんのすごいところは、死刑囚を集めて戦わせるという物語にしているところ。人の命を使い捨てにしようとする不条理さは、時代劇だからこそ描けるものだと思います。またいまだ戦争がなくならない残酷な世の中だからこそ、より響くものだと思います」としみじみ。社会や正しさからこぼれ落ちてしまったような人々にも愛情を注いできた白石監督だからこそ、“11人の決死隊”の葛藤が胸に迫るものとして描き出されていく。

 そして「『凶悪』を撮って以降、媒体さんから『次に何を撮りたいですか?』と聞かれたら、『時代劇です』と答えていました」と時代劇に並々ならぬ意欲を抱いていたという白石監督。『碁盤斬り』に続いて時代劇に挑めることに感激しきりで、さらに出世作である『凶悪』で主演を務めていた山田孝之との再タッグも大きな喜びだ。

 白石監督は「山田さんにはある種、『凶悪』で僕を監督にしてくれたような意識があって」と切り出し、「『凶悪』以降、この10年の間にいろいろな作品をやらせていただきましたが、バジェットや関わる人数が増えれば増えるほど、孤独になっていく部分もあって。監督としてまた新しいものを始めたいという時に、この魂を受け取ってくれるのは山田さんしかいないんじゃないかと思った。鬱々としている僕を、山田さんが救ってくれるという感じもあるんですね」と告白。さらに「賊軍として集まったキャストの方々も個性的な面々で、ごった煮のよう」と微笑みながら、「本作は、ワンシーンの中に15人くらいいるような群像劇。みんなのバチバチとしたエネルギーがこちらに向かってくるので、毎日ヘトヘトです。大変だなと思いながら、心地よい疲れの中でやっています」と充実感をにじませる。

映画『十一人の賊軍』メイキング写真 (C)2024「十一人の賊軍」製作委員会
 賊の中で紅⼀点である、女郎・なつを鞘師里保が演じている。白石監督は「なつは、男勝りでありつつ、繊細なところもあってほしいなと。獣のような男たちの中で、きちんと光が当たる人がいいなと思っていました。山田さん演じる政と、バディ感も出てくるような役なんです」と解説し、難しい役だからこそ「何人かオーディションをしなければいけないなと思っていた」そうだが、「ある時、鞘師さんのお名前が上がってきて。お会いしてみたら、一発で『もうオーディションはいらないです』という気持ちになりました。僕が、鞘師さんに落とされた形です」と楽しそうに話す。

 「本作に取り組んでいると、僕たちは時代劇の所作を撮りたいのではなく、時代の中で右往左往しながら必死に生きている人間を撮りたいんだと改めて肝に銘じていて。役者さんには、とにかく暴れ回ってほしいと思っています」と力を込めた白石監督は、「本作は、名前のない者たちの物語。砦に連れて来られて、戦わざるを得なくなった運命を背負った人たちの物語です。今のウクライナもそうかもしれませんが、戊辰戦争においても死んでいったのは名もなき人たち。僕は、そういう人たちの声を拾いたいし、映画の中に焼き付けたい。今回集まってくれた人は、共犯者として一緒に汚れて、汗をかいて、そういった人たちの声を叫んでくれる方ばかり。オファーの段階から、一緒に叫んでくれる人をキャスティングしたいなと思っていました」と信頼感を打ち明けていた。

 映画『十一人の賊軍』は、11月1日より全国公開。

映画『十一人の賊軍』ポスタービジュアル (C)2024「十一人の賊軍」製作委員会

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