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主演・高橋一生×原作・坂上泉『1972 渚の螢火』インタビュー到着! 場面写真も解禁

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【坂上泉 インタビュー全文】

・原作者 坂上泉インタビュー

――映像化が決定した時とキャスティングを聞いたときのお気持ち

 とても嬉しかったです。発表した小説は 3 作ですが、物語として面白いと思ってもらえたということと、映像化できる物語として評価いただけたということが素直に嬉しいですね。

 キャスティングに関しては、私にとってファンの方もいて驚いています。良いキャスティングをしていただいたと思います。

 「こうくるか!」っていう驚きもあるし、「なるほどな」という感覚もありました。

――原作の舞台を本土復帰の際の沖縄、そして琉球警察を舞台にした理由

 20数年間アメリカの施政権下にあって、なおかつ沖縄県警察が戦争中に消滅した後にゼロから作っているという意味で、かなり異質の歴史をたどっていると思います。そういう元々の成り立ちが違うところと、上にアメリカ軍がいて、琉球警察がいて、どっちを見るんだというこの組織の複雑さ、そこにすごいドラマがあるなと思ったので、ぜひ書きたいと思いました。

 元々戦後史に興味があったのですが、その中でも沖縄の日本復帰はやはり避けて通れないと思います。一方で舞台として、右側通行の 730(※2)やドルの流通など、他の日本本土の地域がたどったのは違う歴史を経て、文化に触れている。それが今の沖縄の社会や文化の成り立ちに良くも悪くも影響を与えているところがいっぱいあると思います。そういうものが特に濃密に残っていたこの最後の瞬間、1972年の4月から5月にかけての時期が、すごく複雑性に富んでいて、物語の舞台としてドラマがあるなと思っています。

――日本と沖縄の関係性の複雑さの中で揺らぐ主人公・真栄田太一のパーソナリティはどのように掘り下げていったのか?

 沖縄に限らず、大人になり、東京や大阪などの都市圏に出て地元との縁が薄れるという方はいらっしゃるかと思います。そんな中で、自分のアイデンティティが、地元なのか東京なのか、あるいはまた別のところなのか、揺れ動く。自分自身にもそういう思いがあったからこそ、沖縄で当てはめるとどういうことになるのか書きたかったのです。沖縄ではなくて、むしろもっと普遍的にありうる像として描いております。

―― “八重山出身”ということから、真栄田が沖縄本島出身の人間から揶揄されることについて

 THE BLUE HEARTS の「TRAIN-TRAIN」の歌詞で、「弱い者たちが夕暮れ さらに弱い者をたたく」という歌詞がありますが、支配/被支配って0と100ではなくて、例えば沖縄の中でも差別/被差別がある。例えば警察内部でも久米島閥があっただとか、八重山への差別があるだとか、当時でいうところの混血児の問題など、社会の中での支配/被支配を、戦後史を描く上で沖縄を舞台にするなら、ちゃんと描きたかったのです。

――真栄田を敵視する与那覇清徳や日系二世のジャック・シンスケ・イケザワなど、周囲の登場人物の造形や境遇について

 今作を描く時、実は念頭にあったのが「チーム戦」です。主人公の周りを固める5、6人にどんなキャラクターが必要なのかという組み立てをしました。主人公が複雑な人間だったら、一方で沖縄にどっぷり浸かった典型的な沖縄人がいるべきだし、あるいは日系アメリカ人というある意味イレギュラーで支配側なのか被支配側なのか分からない人間も入れる、といった形で考えていきました。それぞれの人物にどんなバックストーリーがあったのかということも踏まえて、物語を作っていきました。

――沖縄を題材にする上で、こだわった部分や大事にしたこと

 小説は活字の媒体なので、あえて活字情報では得られづらい情報をなるべく落とし込もうと思いました。特に色を意識しました。沖縄は本州に比べるとすごくカラフルでビビッドな印象があって、そこを今作ではちゃんと出したいなと考えました。

 あとは当時の沖縄社会であまり記録されていない、“当たり前の風景”も意識しました。当たり前の情報は記録に残りづらい、イレギュラーだからニュースになる。当時テレビでどんな番組が流れていたのか、車道にどんな車が走っていたのか、そういうことをまぶしています。

――執筆後の沖縄への意識や見方の変化

 調べれば調べるほど、分からないことがいっぱいありました。沖縄については観光地や歴史上の舞台としてしか知らなかったのですが、そこには当然日々の生活があるし、営みがある。だからこそドラマが生まれるのだな、ということは書きながら、調べながら感じていました。分からないことが増えていくと同時に、そういう土地なのだという実感が湧いてきましたし、だからこそ単純な被害者や単純な加害者はいないようにしたいという気持ちが書いているうちに増したと思います。そういったことも踏まえて、小説では次の一歩に進んでもらいたいという意味も込めた展開で書いています。そしてそこから今現在に繋がっている、というメッセージを込めています。

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