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主演・高橋一生×原作・坂上泉『1972 渚の螢火』インタビュー到着! 場面写真も解禁

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【高橋一生インタビュー全文】

・高橋一生インタビュー

――今作の出演オファーについて

 僕はこれまで、お芝居は娯楽の比重が大きいと思っていたので、実際にあった出来事が関わっている作品に出演することを、どこか敬遠していたんです。今回、真栄田という役を演じるに当たって、まず僕の顔が沖縄の方っぽくない、というのもありますし(笑)、この場所の歴史を自分が語ると考えると、お受けするのは難しいかもしれないと思いました。

 フィクションでは、見ている人たちの心の豊かさにつながる作品が作れると信じているので、できれば虚構の世界の中に生きていたい。…そう思っていたのですが、今回の作品は、監督の平山秀幸さんが以前から何度かお仕事させていただいている方であることと、高江洲義貴プロデューサーが「一生さんの顔でも大丈夫です!」と言ってくださったので、大丈夫かと思った部分もありまして(笑)。また、撮影で沖縄に入ってからいろんな方々にお会いしてお話しさせていただく中でも、全然大丈夫だなと感じました。

 沖縄の歴史についても知っているつもりでいましたが、新鮮なこともたくさんありました。ロケ地を貸していただいた地元の方にもお話を伺いながら、次第に自分がやることの意味を感じられるようにはなったかなと思います。

 「娯楽としてやりたい」と思っているベースは今も変わらないのですが、できる限り重心の低い作品を選びたいとなると、今作のような作品になるのかもしれない、と感じています。

――今回の撮影を経て沖縄の印象

 沖縄には何度か遊びに行ったことがあります。地元の方と一緒にいろんな所へ行き、いろんなものを見ました。ひめゆりの塔や、普段は入れないような防空壕にも入らせてもらったのですが、今回真栄田という役の視点が半分入っている状態で現地に入ると、これまでとは感覚が少し違いました。

 1972年を背景とした今回の沖縄の話は、まだ生々しさが残っていますし、この年の5月15日、本土復帰の日に全部が変わったというこの感じは、他のどの国を探してもあまりないような気がします。行く先々で現地の方々に話しかけたのですが、本当にたくさんの話をしてくださって。それを聞いていると「自分がやる意味はあったかもな」と思いました。この経験は自分の中で良い経験になっています。

 「コザ暴動」という言葉は知っていましたが、実際に現場にいた方の話を聞くとイメージがまったく違っていました。居酒屋で「よし、やってしまおう」と始まって、車をひっくり返しに行ったんだそうです。「それでいつ終わったんですか?」と聞くと、「何となくなんですよね〜」とおっしゃっていました。この感覚は、ものすごく生々しいと思うんです。やはり人間の限定的・局所的な衝動に対する鎮静の仕方や収まり方は、誰かが押さえ込んでということではないんだなと思いました。自分たちの気が済むところまでいったら「何となく」ゆっくり凪いでいく感じが、波のようで自然だなと思いました。

 「そんなの嘘だよ」と思う人もいるかもしれません。それは芝居と通底するようなところがあって、誰かから見たら僕の芝居はすごく嘘くさいかもしれないですが、誰かからしたらすごくリアルに感じられるかもしれない。そういった意味で、戦争が終わった後の生々しい状況の沖縄を肌で感じることができたことは、僕の人生経験においても非常に良かったと思います。

――高橋さん演じる真栄田という役について

 僕が1972年当時に警察署員だったら、という考え方しかできないですが、できる限り原作の雰囲気を残しつつ、脚本の中にある“真栄田太一像”を意識すると、彼は自身のアイデンティティーにおいて非常に悩んでいる人間だと感じました。そして、その点が僕としては一番役に入りやすかったポイントでした。彼の何ともいえない微妙な揺らぎは、規模やレベルは違いますが、僕が映像と舞台の作品を並行しながら多くやり始めたときと似たような感覚を覚えました。それぞれの側から「映像に出るから売れたいのね」とか「映像に出ないと始まらないよ」などというようなことを言われることがあり、そういうどっちつかずの中でやっていたような感じを思い出しながら、真栄田という人間を作っていったような気がします。今はそんなことに悩んでいた自分がかわいらしいなと思うところはあるのですが、当時はすごく必死になっていました。今も真栄田が生きていて、もうおじいちゃんになっているとしたら「あんなこともあったなぁ」と言えてしまうぐらいのことなのかもしれない。

 ですがやはり自分がアイデンティティーを模索している時期に受けるいろんなことが、どこか自分の根幹を作っているのだと思います。

 沖縄と東京で撮影する中で、自分の中で順を追って組み合わせていくと、“真栄田太一像”が確固として浮かび上がってきます。なので、真栄田太一をひとりの人間として人間観察するように「こんなとき、真栄田はこんなふうに言うのね」という感覚で、面白く演じられたとは思います。

――ドラマを見る視聴者の皆さんへのメッセージ

 今のドラマの在り方に対して、WOWOW は、ドラマだから映画だからという分け方をせずに、物語やキャラクターをきちんと重視しながら撮れる環境を作ってくださいます。そのような制作の体制を取れる現場は貴重なのでありがたいですね。今は、制作の裏側も含めて突っ込んだり考察したりすることすらもエンタメ化している感じがあるのですが、作品そのものにしっかりと没入できるという点で言えば、やはり WOWOW はとても強いと感じます。

 「1972 渚の螢火」は、当時こんなことがあったのか、あったのかもしれない、という時代のにおいや背景、その感覚を体感してもらえるドラマなのではないかと思います。真栄田のキャラクターだけでなく、本土復帰前後の沖縄の雰囲気を感じながら、人間のさまざまな感情の動きを目の当たりにして豊かな気持ちになってもらえたらうれしいです。ぜひご覧ください。

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【坂上泉 インタビュー全文】

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