『チィファの手紙』岩井俊二監督の新たなミューズ、中国四大女優ジョウ・シュンに注目

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映画『チィファの手紙』で初めて中国でメガホンをとった岩井俊二監督が、主演の女優ジョウ・シュンのアイデアからインスピレーションを与えられたエピソードを明かした。
【写真】『チィファの手紙』岩井監督こだわりの“水色”の爪にしたジョウ・シュン
本作は、今年1月に公開された岩井監督の最新作『ラストレター』と同じく、自身の小説『ラストレター』を原作に岩井監督が中国で描くもうひとつの“ラストレター”。死から始まる淡く切ないラブストーリーを描き出す。2018年11月に中国で公開されると、中国映画としてその週の興行ランキング1位を獲得。中国のアカデミー賞とされる第55回金馬奨で最優秀主演女優賞・助演女優賞・脚本賞の3部門にノミネートされた。
亡くなった姉チィナンに代わり、再会した初恋相手と文通を始める主人公チィファを演じたのは、『ふたりの人魚』(2000)、『女帝 エンペラー』(2006)やトム・ハンクス主演のハリウッド大作『クラウドアトラス』(2012)などで知られるジョウ・シュン。ゴールデン・ホース賞、香港映画賞、百花賞、ゴールデン・ルースター賞、アジア映画賞の女優賞を総なめにした初の中国人女優で、シュー・ジンレイ(徐静蕾)、ヴィッキー・チャオ(趙薇)、チャン・ツィイー(章子怡)と共に中国四大女優(四大名旦)の一人として人気を誇るトップ女優だ。本作のプロデューサーであるピーター・チャンとは、『ウィンター・ソング』(2005)以来のタッグとなった。
岩井監督はジョウについて「自分の爪を水色にしたいと提案してくれました。その色が僕の中でもキーカラーになって、どこかでずっとこだわっていました」と語り、自身の演じるキャラクターに真剣に向き合うジョウのアイデアが、作品にインスピレーションを与えていたことを明かした。
日本版では松たか子がコミカルかつ人間味豊かに演じた役どころだが、本作ではジョウが、ドラマティックに推移する物語の中で変転するチィファの心模様をしっとりと魅力的に妙演している。
さらに監督はジョウ・シュンを「生き方そのものが自然体」と表現。自身のノスタルジックでクラシカルな世界観を彼女が自由な表現力で彩ったことを絶賛した。
映画『チィファの手紙』は9月11日より全国公開。