貫地谷しほり、“産後初舞台”挑む「もし私が成功しなければ、明日みんな死んでしまうかも」こまつ座代表・井上麻矢と思い語る
――稽古に向けて準備したいことはありますか?
貫地谷:前回のときもそうだったんですけど、この作品のような畳芝居って、本当に体がおかしくなるんです。みんな「腰が痛い」「肩が痛い」って、あちこち悲鳴を上げていきます。でも、私はずっとパーソナルトレーニングに週に2回通っていまして、そのおかげもあってか前回はまったく痛いところもなく終えることができました。ただ、最近はちょっと子育てもあってトレーニングに行けていないので、ちゃんと再開して痛くならない体を作りたいなと思っています。やっぱりストレッチをして体を動かすことって本当に大事ですね。
――それはすごい。身体的な不安はなさそうですね。
貫地谷:いや、産後あるあるらしいんですけど、視力が落ちてしまっていて……。戻ると言われているんですけど、割とまだ戻っていないんです。でも、一葉ってすごく近眼の役なんですよ。だから、前回よりももっと一葉の気持ちが分かるはず(笑)。ト書きにあるような「ぼーっとしているマイペースさ」とか、そこからくるおかしみみたいなものを、今回はよりリアルに出せたらいいですね。
――役作りにはなりそうですが、早く視力が戻られるといいですね。一葉が生きた明治は「女子に学問はいらない」と言われるような時代でした。本作のような作品は、令和の観客にはどのように届くでしょうか。
貫地谷:今は女性が職業を持つことが当たり前の時代になりましたけれど、それも一葉のような女性たちの活躍やつらい葛藤という「礎」があったからこそ。最近は、AIの普及が本当にすごくて、私自身も課金して何でも相談しているくらい使っていますが、だからこそ、役者という仕事は「AIには代われないものだ」と、最近は改めて強く実感しています。いくら優れたCGが出てきても、やっぱり劇場というあの空間でしか味わえないエンターテインメントがある。そのエンターテインメントが、これからの時代にさらに重要な役割を担っていくんじゃないでしょうか。
貫地谷しほり
――劇場で生身の人間が演じるからこそ、手渡せるバトンがある、と。
貫地谷:私自身、小学生のときに学校に演劇が来てくれたのを観て、それがすごく面白かったことが、とても心に残っているんです。そこで「日本人としての核」みたいなものを教えてもらったような気がしています。今度は私たちがそういうものを、お芝居を通して皆さんにお届けできたらいいですね。
――最後に、公演を心待ちにしている読者の皆さんへメッセージをお願いします。
貫地谷:日々生きていて、「お金がない」とか、「明日どうしよう」とか、つらい瞬間って誰にでもあると思います。この舞台に出てくる人たちも、みんな明日死んでしまおうかっていうくらい必死に悩んでいます。でも井上さんのお芝居って、みんなが一生懸命生きているからこそ、すごく素敵なコメディになっているんです。「私は今こんなにつらいけど、後で笑えるかもしれない」って、どこかで思えるようなきっかけになったら嬉しいです。ぜひ劇場に足を運んでください!
(取材・文:宮崎新之 撮影:五十川満)
こまつ座第160回公演『頭痛肩こり樋口一葉』は、7月29日から8月30日、紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演、その後各地で上演。
【公演概要】
こまつ座第160回公演『頭痛肩こり樋口一葉』
東京公演
7月29日(水)~8月30日(日)
劇場:紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
群馬公演
9月5日(土)9月6日(日)
劇場:高崎芸術劇場
岡山公演
9月10日(木)9月11日(金)
劇場:岡山県芸術創造劇場ハレノワ(中劇場)
岐阜公演
9月14日(月)
劇場:可児市文化創造センターala(主劇場)
山形公演
9月18日(金)
劇場:川西町フレンドリープラザ
石川公演
9月22日(火)9月23日(水)
劇場:能登演劇堂
大阪公演
9月26日(土)9月27日(日)9月28日(月)
劇場:梅田芸術劇場シアタードラマシティ
■作
井上ひさし
■演出
栗山民也
■出演
貫地谷しほり 増子倭文江 香寿たつき 瀬戸さおり 岡本 玲 若村麻由美
【公式サイト】https://www.komatsuza.co.jp/