渡邊圭祐×小林亮太×樋之津琳太郎、念願叶い稲葉賀恵と初タッグ 注目作『Yerma イェルマ』挑戦に意気込み
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1930年代スペインの閉塞的な寒村を舞台に抑圧された女性の苦悩と孤独が描かれた、詩人で劇作家であるフェデリコ・ガルシーア・ロルカによる戯曲『イェルマ』。この不朽の傑作を起点として、劇作家のオノマリコが脚本を書き、そして今年2月に第33回読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞したばかりの稲葉賀恵が演出を手がける舞台『Yerma イェルマ』が今秋シアタートラムにて上演される。注目のキャストは、主人公のイェルマ役にここ数年さまざまな方向性の作品への出演が続き目覚ましい活躍ぶりの咲妃みゆが扮するほか、妻との性的な関係や子作りに後ろ向きなイェルマの夫・フアン役を渡邊圭祐、イェルマの幼なじみで彼女と特別な関係でもあるビクトル役を小林亮太、フアンが秘密にしている同性の恋人であるらしい若い男役を樋之津琳太郎が演じることになった。本格的な稽古にはまだ間がある3月下旬、三人で顔を合わせるのはこの日が初めてとなる渡邊と小林と樋之津に今作への想いや意気込みを訊いた。
【写真】咲妃みゆ、渡辺いっけいら実力派キャストが顔をそろえる『Yerma イェルマ』メインビジュアル
◆稲葉賀恵の演出にあふれる期待
――まずは、今回この『Yerma イェルマ』という作品に出演が決まった時の率直な心境からお聞かせいただけますか。
渡邊:僕は初舞台が世田谷パブリックシアターだったこともあって、今度はシアタートラムのほうに立てるんだという喜びが、まず大きかったです。そして稲葉さんの演出を受けられるのが楽しみだな、とも思いました。自分としては久しぶり、約2年ぶりの舞台になるのでワクワクしています。
小林:舞台の仕事ではミュージカル作品を多くやらせていただいているのですが、ストレートプレイのほうにもぜひ足を踏み入れたいなという想いが強くありまして。そして僕もやはりシアタートラムという劇場が、特に自分自身もよく観に行く劇場でもあったので、あそこに立てることがとてもうれしかったですね。さらに渡邊さんと同じく僕にとっても稲葉さんとご一緒できるというのは、すごく大きいことでもありました。
樋之津:僕の場合は舞台に立つこと自体が初めてなので、まずはそこに対するワクワク感と、「どうなるんだろう?」という先の見えない不安な気持ちとがあったんですが。だけど、実は出演が決まってから日が経つにつれて徐々に事の重大さが分かってきたところでもあります(笑)。
「シアタートラムで、稲葉さんの演出? それってものすごいことだよ!」という周りの方々の反応から、ようやく「ヤバイヤバイ、自分は今、すごいことになってるんだ!」と分かってきたというか。大変光栄な場所にトライできる機会なんだと、今は身が引き締まる思いでいます。
――稲葉さんの演出を受けてみたいと思われたのは、それぞれ、たとえばどういうところに魅力を感じられたのでしょうか。
渡邊:そうですね。今だからこそまず言えるのは、読売演劇大賞の最優秀演出家賞を稲葉さんがとられたばかりじゃないですか。それに関してはある意味、ひとつの分かりやすいフックとして人に言いやすいのかな、と思ったりもしますが(笑)。とはいえ、それはこの作品への出演が決まった後の話ではあったんですけどね。
だけど本当に、実際にここ近年の面白いと言われる舞台をたくさん手がけていらっしゃる演出家さんであることには間違いなくて。この作品に出演する情報が解禁されてからは「稲葉さんとご一緒するんです」という話をすると、共演者の中にも稲葉さんの演出を経験された方が多くいらっしゃって。その方たちが言っていたのが「たとえば階段を降りる、たとえば袖から出て来る、そういったひとつひとつの動きに動機をくださる」ということでした。つまり、ものすごく丁寧な演出をされる方だと。「自分も、ぜひもう一度ご一緒したい」とみなさん、口を揃えて羨ましがってもくれましたしね。
そして前衛的なことをやるのがお好きな方だったりもするようなので、それはそれでまた楽しみになりました。だから今は、どんな台本があがってきて、それに稲葉さんがどんな演出をつけてくださるんだろうということ、この『イェルマ』という作品世界をどこまで現代に合わせて仕上げてくださるかということに、とてもワクワクしています。
――小林さんと樋之津さんは、既に稲葉さんと面談されているそうなので、その時の印象なども含めて伺えたらと思いますが。
小林:僕はまさにシアタートラムで拝見した『ブレイキング・ザ・コード』(2023年)という作品の時に、渡邊さんが今おっしゃっていた「役者にいろいろと動機をくださる」というのを感じた気がするんです。演じる役から見えてくるものが、稲葉さんが手がける作品からはとても大きいように思っています。それこそ僕、去年の年末に稲葉さん演出の『Downstate』を駅前劇場の最前列で観たんですが、終演後しばらく立ち上がれなかったですから。
――最前列であの作品を浴びるのは、強烈な体験になりそうですね。
小林:あまりにも強烈でした。もちろん取り扱っているテーマの重さのせいもあったでしょうけど、だけどやはり稲葉さんの演出の中で動く俳優たちがイキイキしていた、という言葉が正しいかどうかは分かりませんが、本当にその役の皮を一枚被っただけでは届けられないほどの人生を背負ってみなさん演じられていて。そこまでのものが、観客側にしっかり届いていた実感があったんですよね。
――舞台上の人々がみんな、生々しかったです。
小林:そう、すごく生々しいんです。だから見ている側が作品世界にすごく引き込まれる。と、こんな感じで去年、直接お会いした際もただただ僕は稲葉さんへのラブコールをペラペラ喋っていた気がします(笑)。僕も、ずっと前からぜひとも稲葉さんとご一緒したい!と願っていたものですから。
――その気持ちが届いたんですね(笑)。
小林:本当ですよ! あんなに語っておいて、願いが叶わなかったとしたらそのあと相当気まずいじゃないですか(笑)。いや、もう本当に感謝しています。
――良かったです(笑)。樋之津さんは、お会いした時はどんな感じでしたか?
樋之津:僕の場合は面談をさせていただいた時点では、お話をするということよりもまず、事前にいただいていた台本をその場で演じてみるということを中心にやらせていただいていました。それで、最初はうまくいかなかった場面を「じゃあ、次はこういう風にやってみようか」と提案してもらったり、そこでちょっとだけ感覚が掴めたら「次はこうやってみましょう」というようにどんどんブラッシュアップしながらさまざまな演出をつけてくださったんです。その上で「この役はこういうものを抱えているんだよ」ということを、すごく丁寧に細かく提示してくださって。
自分は俳優のキャリアはまだ浅いですが、それでも今までやってきた中で、ああいう経験をしたことがこれまでなかったので。稲葉さんがくれた言葉ひとつで、自分がそこに安心して乗っかっていけるという経験が初めてできたこと自体が、すごく印象的でした。だから稽古でまたお会いできるのが今からとても楽しみなんです。
――きっと、稽古もそういう感覚で進めていかれるんだろうと予想できますし。
樋之津:そうですよね。その稽古で、自分がまた成長していくことができるのではないかというのも楽しみであり、もちろん壁にもぶつかるでしょうけど、そこはなんとか気力で乗り切りたいなとも思っています(笑)。
◆渡邊圭祐、初対面で小林亮太の面白さを見抜く!?
【公演概要】
『Yerma イェルマ』
9月21日〜10月12日:東京・シアタートラム
10月17日・18日:兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
10月31日・11月1日:宮城・多賀城市民会館 大ホール
11月7日・8日:愛知・東海市芸術劇場 大ホール
◆作
オノマリコ
◆構成・演出
稲葉賀恵
◆出演
咲妃みゆ
渡邊圭祐
小林亮太
樋之津琳太郎
大場みなみ
青山祥子
前東美菜子
渡辺いっけい
【公式サイト】https://setagaya-pt.jp/stage/32248/
【公式X】@Yerma_sept
【公式Instagram】@yerma_sept