安田顕、林遣都との二人芝居再演に込める想い「この脚本を自分の棺桶に入れてほしい」<舞台『死の笛』インタビュー>
――安田さんは復讐心を糧にすることはありますか。
安田:「チクショウ、できるまで頑張るぞ。ああ、思ったような演技ができなかったな、折れそうだわ。だけど朝になったらできるまでやってやるぞ」というのはありますが、復讐心とはちょっと違いますよね。
そういう言葉に今、敏感になっていて。先日、ニュースで、被爆された方が「被爆で親を失い自分も被爆して病気になりました」と言われていたのが忘れられないんです。でも、「原爆を落とした人たちを恨んではいない」とおっしゃるんですよ。「ずっと恨んでいたら生きていけない」と。復讐心を持つ人間がそれを生きがいとして、どこまで生きていけるのかなと思います。
――坂元さんとは、テーマや内容についてお話されたりするのでしょうか。
安田:していないんですよ。物語に関する疑問点を全部聞いてしまうと、その本を越えられないじゃないですか。明快で難解な言葉で構成されたストーリーなんですけど、林さんと水田さんと3人で考えて、考えて、考えて、1つの答えを見出していく作業がすごく豊潤なものになっているんです。だって「チェーホフさん、これってどういう意味ですか?」「シェイクスピアさん、このセリフの意味は?」とは、もう聞けないじゃないですか(笑)。
――(笑)。
安田:もし、生きていたとしても、聞かないで自分で考えたいんです。この物語は、考えるということをやめたら、脳が停止して、脳が死ぬ。それは死んでいるのと一緒ですよということが含まれていますし、当たり前のことに疑いを持って、当たり前とは何かを一緒に考えてみようよ。それを考えた先に何が生まれるかということを、坂元さんはおっしゃっているような気がしていて。これだけ言っといて、坂元さんに「全然違う」と言われたら、嫌ですよね(笑)。
――安田さんと林さんの演技に笑ったり、恐怖を感じたり、ジーンとすると同時に、考えさせられる作品ですね。最後にメッセージをお願いします。
安田:例えは変かもしれないですが、この脚本を自分の棺桶に入れてほしい、そんな作品です。二人芝居は、波長が合わなかったら大変なことになるんですが、波長が合えば、もう3倍にも4倍にもグルーブがかかってくる。林さんとはそれができますし、その熱量をぜひ、見てほしいですね。
(取材・文・写真:米満ゆう子)
舞台『死の笛』は、7月12日まで東京・IMM THEATER、7月17日~19日北海道・札幌サンプラザコンサートホール、7月24日~8月2日大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。
【公演概要】
舞台『死の笛』
7月3日~7月12日:東京・IMM THEATER
7月17日~7月19日:北海道・札幌サンプラザコンサートホール
7月24日~8月2日:大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
◆出演
安田顕
林遣都
◆脚本
坂元裕二
◆演出
水田伸生
◆企画・プロデュース
安田顕
【公式サイト】https://www.teamnacs.com/stage.php?ex=2026_03