今年で還暦! “スーパースター”トム・クルーズの軌跡 アイドルから体を張るアクション俳優へ
熱血カーレース映画『デイズ・オブ・サンダー』(1990) 写真提供:AFLO
かくして、若干24歳にして世界的スターの座へと上り詰めたトム。『トップガン』の同年に公開された『ハスラー2』も大ヒットし、こちらもやったことがなかったビリヤードを猛練習して臨み、世界中にビリヤードブームを巻き起こした。そして1988年の『レインマン』はアカデミー賞作品賞を受賞、翌年のベトナム帰還兵の苦悩を演じた『7月4日に生まれて』ではアカデミー賞主演男優賞にノミネートされる。そして『トップガン』以来2度目のタッグとなった、トニー・スコット監督による熱血カーレース映画『デイズ・オブ・サンダー』も大ヒット。ここから90年代半ばにかけて、作品の評価と興行収入の両方で結果を出すトムだが、『トップガン』や『デイズ・オブ・サンダー』はカテゴリーとしてはアクション映画であるものの、あくまでパイロットやドライバーという役どころ。今でこそ、走ったりぶら下がったり銃を撃ったりするトム=アクション俳優というイメージが浸透しているが、当時はまだ、いわゆる“アクション映画”への出演は皆無だった(もちろん動ける俳優というのは分かってはいたが)。しかし1996年、ついにその時がやってくる。
●アクション俳優トムを印象付けた『ミッション:インポッシブル』シリーズ
世界中がまねした“ぶら下がりアクション” 『ミッション:インポッシブル』(1996)
『トップガン』から10年、30代中盤となったトムが本格的なアクション映画へ挑戦した作品が、かつての人気テレビシリーズ『スパイ大作戦』を映画化した1996年公開の『ミッション:インポッシブル』であろう。本作から、トムは俳優としてだけではなく、プロデューサーとしても活動を始める。前述したように、ここまで本格的なアクション映画への出演がなかったトムだが、劇中で披露したかの有名な“ぶら下がりアクション”をはじめとする、トムの体を張ったアクションは新鮮かつダイナミックな出来栄え。巧みなサスペンス展開も手伝って、映画は大ヒットを記録する。この成功によって本作はシリーズ化され、トムの看板アクションシリーズへと成長。その後のシリーズでは、プロデューサー権限でスタントを使わずに次々と信じられないスタントを披露していく。超高層ビルの壁面を駆け下りたと思えば、離陸する飛行機につかまったり、ビルからビルに飛び移って骨折したり…。「そこまでしなくてもいいのに!」と、シリーズを経るごとにエスカレートしていくアクション俳優トムの活躍は、周知の通りだ。