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『トップガン マーヴェリック』に“アイスマン”ヴァル・キルマーが感動の登場 自ら出演のアイデア出し

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トム・クルーズ

ヴァル・キルマー

●俳優ヴァル・キルマーの歩み

 キルマーは、1959年、ロサンゼルス生まれ。3人兄弟の2番目。両親はキルマーが8歳の時に離婚した。出身高校は、ロサンゼルス郊外のチャッツワース高校。ケヴィン・スペイシーと同級生だった。

 ニューヨークの名門芸術学校ジュリアードで演技を学び、舞台でデビュー。ケビン・ベーコンとショーン・ペンが出るオフブロードウェイの『The Slab Boys(原題)』では、ベーコンが出られない日にベーコンの代役、ペンが出られない日にペンの代役を務めた。そして1984年、『トップ・シークレット』で映画デビューを果たす。1985年には、コメディ映画『天才アカデミー』に出演。その翌年に『トップガン』で大ブレイクを果たした。

ヴァル・キルマー『トップガン』(1986)スチール 写真提供:AFLO
 妻となるジョアンヌ・ウォーリーとは『ウィロー』(1988)で共演し、恋人関係になる。だが、その前にもキルマーはロンドンで舞台に出演した彼女を見て、良い印象を持っていた。ふたりは1988年に結婚。3年後に長女メルセデス、5年後に長男ジャックが生まれたが、1996年にふたりは破局。キルマーと恋の噂になった女性には、シェール、シンディ・クロフォード、アンジェリーナ・ジョリー、ダリル・ハンナ、エレン・バーキンなどがいる。

 一般向けに売られるようになった頃からビデオカメラを愛用し、映画の現場や舞台裏、家族や友人との様子を撮影し続けてきた。『Val』は、それら大量の映像によって生まれたもので、キルマーはプロデューサーおよび撮影監督としてクレジットされている。A24が製作した今作は、昨年のカンヌ国際映画祭でお披露目された。賞レースでは、クリティックス・チョイス協会(旧・放送映画批評家協会)によるクリティックス・チョイス・ドキュメンタリー・アワーズから、歴史的あるいは伝記ドキュメンタリー賞と、ナレーション賞を受賞している。

 このドキュメンタリーは、すばらしいキャリアを振り返り、今の真実を見せる、彼のレガシーを象徴する映画になった。と思ったら、さらに『トップガン マーヴェリック』が出てきたのだ。キルマーの復帰は主演のクルーズにとっても重要で、「キルマーが出ないなら続編は作らない」とクルーズが主張したと、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが明かしている。

『トップガン マーヴェリック』メイキング 若き日のアイスマンとの写真を見つめるマーヴェリック役のトム・クルーズ (C)2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
 癌を克服したキルマーは、このあと2本の映画にクレジットが予定されている。そのうち1本では自ら監督も務める。現時点で、『Val』と『トップガン マーヴェリック』は、彼の俳優人生の後編の最高の2本となったのではないか。その感動を味わうためにも、『トップガン マーヴェリック』は何度でも見直したい。(文・猿渡由紀)

 映画『トップガン マーヴェリック』は公開中。

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