<ホラー映画ナビ特別編>夏ホラーが大豊作! パニック・殺人鬼・サメ・心霊まで一挙紹介!
■『セルビアン・フィルム 4Kリマスター完全版』(2010年/セルビア/R18+)7月22日公開
『セルビアン・フィルム』 写真提供:AFLO
この夏のホラー旋風は新作ばかりではない。伝説の超・鬼畜残酷映画がまさかのリバイバル公開! しかも、奇跡の解禁となった4K無修正完全版で再上陸する。
今はポルノ業界を退き、妻子と慎ましく暮らす元スター男優。高額なギャラにつられて、芸術ポルノ大作への出演依頼を承諾した彼だが、それは本物の拷問と殺人を撮影するスナッフ・フィルムだった。
露悪的なポルノ現場の舞台裏に始まり、倫理と道徳を踏みにじる壮絶シーンのつるべうち。「全世界46ヵ国以上で上映禁止」「一生分のトラウマ」と物騒な惹句が踊り、非難轟々となった病的な「人でなし」描写の一方で、意外に作り込まれた映像美がクリアに復活。この禁断の扉を開き、新たな犠牲者(信奉者?)が増えることは確実だ。
■『女神の継承』(2021年/タイ=韓国/R18+)7月29日公開
『女神の継承』(C)2021 SHOWBOX AND NORTHERN CROSS ALL RIGHTS RESERVED.
夏の風物詩はやっぱりオバケ! 心霊好きにはこちらをイチオシ。土地の精霊への信仰が厚いタイの小村で、女神を宿す女性祈祷師にカメラを向け、神秘の世界を追う取材チーム。一方、彼女の若い姪は原因不明の体調不良を訴え、奇行を重ね始める。どうやら女神が憑依し、祈祷師一族の新たな継承者となったらしい。だが、苦しむ姪を霊的に治療するうち、一族にまつわる黒い因縁が徐々に暴かれてゆく。
韓国土着ホラーの名作『哭声/コクソン』(2016年)のナ・ホンジン監督が、続編として構想した祈祷師の物語を、自然豊かなタイ北東部に舞台を移して映画化。現地の心霊風土をドキュメンタリー調に追う前半が興味深く、一転、激しくなる怪異は固定の監視カメラを用いて検証。クライマックスの壮絶な退魔儀式では手持ちPOV映像を駆使。表現手法にあわせた心霊表現の変化が面白く、信仰に対する疑念のテーマがまた、深い。
ジメジメと高温多湿な日本の夏をショックとスリル、限界突破の刺激的な恐怖体験で吹き飛ばす! 暑気払いにぴったりな話題作、あなたはどれを観る?
(文・山崎圭司)