『あまちゃん』『ビリギャル』でブレイク 有村架純が『るろうに剣心』巴役を射止めるまで
映画
■役幅の広さに驚く
そのほかにも、苦悩するシングルマザーや健気な戦国武将の妾（めかけ）、愛と友情と結婚の狭間で苦悩する等身大の女性など…まだまだたくさんの作品・役柄があるが、改めて彼女のキャリアをひも解いてみると、まず、その役幅の広さに驚かされるのだ。「好感度の高いスター女優」であることに間違いはないが、映画を丹念に1本1本観ていくと、喜怒哀楽のメリハリ、静と動、饒舌と無口、健気な優しさ、そして時には勝ち気で性悪な一面もさらけ出す潔さ。ただやみくもに挑戦しているだけでなく、演者としてのパフォーマンスも確かなものがあることを再認識させられる。
女優として、新たな役にひるむことなく挑戦し続け、着実にキャリアを積み重ねてきた有村架純。この道のりで培われた彼女のスキルを考えると、『るろうに剣心』シリーズの大きな要となる雪代巴役に白羽の矢が立つことは、当然の結果だったとも言える。むしろ、どんなヒロインの世界を構築してくれるのか、作り手側は期待しかなかったのではないだろうか。重要キャラクターゆえに、抜擢当初は、実写化作品の宿命ともいえる賛否も巻き起こった巴役。しかし、重圧を乗り越え、その魂を込めた情念の演技によって、最終章にして原点となる物語をシリーズ最高傑作へと昇華させた。
有村がこれまで培ってきた全ての経験と、この作品に懸ける熱い思いが詰まった巴役をぜひ体感していただきたい。（文・坂田正樹）
映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は今夜21時より『金曜ロードショー』（日本テレビ系）にて放送。
＜引用＞
＊1 『日経WOMAN』2016年3月号
2ページ（全2ページ中）
