膨らむ妄想 『SLAM DUNK』衝撃の連載終了から26年、井上雄彦は新作で何を描くのか
1993年からは、テレビアニメ全101話も放送された。原作のストーリーで見ると県予選の決勝リーグまでしか描かれていないが、終わり方は漫画に負けずインパクトが強い。その理由は、第82話以降のエンディングにある。
エンディングの映像には、愛和学院の諸星大、大栄学園の土屋淳、名朋工業の森重寛、豊玉の南烈と岸本実理など、全国でしのぎを削る強豪校の選手が登場していることから、視聴者は全国大会まで放送が続くことに何の疑問も持っていなかったのだ。
しかし、その後は湘北と陵南・翔陽合同チームとの練習試合など、オリジナルエピソードを数話放送して番組終了。このことから、何らかの理由で予定されていた全国大会以降の放送が打ち切りになったという説が有力だが、真相は明かされていない。オリジナルエピソードを追加した理由も、放送クール(1~3月)の途中で番組を終了させないための措置だったのかもしれない。
それから漫画・アニメともに新作が発表されることはほとんどなかった。連載終了から8年後の2004年、同年に廃校となった高校の黒板で『スラムダンク あれから10日後ーー』を発表したが、これは登場キャラクターの何気ない日常を描いた“隙間を埋める”内容となっている。
プロバスケットボール選手・田中大貴との対談では、続編について「別にやんないと決めてるわけでもないし、やると決めてるわけでもない。また描きたくなったら描く」とコメントしている井上。しかし一時は、続編や新作への多数の要望に「無意識のうちに辟易していた」時期もあったという。この事実を考えると、新作が出るということ自体、永久に叶わなかったかもしれないファンの願いが成就したことになる。是も非も含め、映画の新たな情報や動画が公開されるたびに多くの声が上がっているが、それは新作を待ち続けたファンの多さを物語っている。