“元風俗嬢”ちひろさん役で新境地 かわいいだけじゃない、女優・有村架純の魅力とは
もう一方でミステリアスな魅力も持ち合わせているのが、有村が特別な女優である理由だ。『花束みたいな恋をした』(2021)では、脚本家の坂元裕二と『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016、フジテレビ系)以来の再タッグを果たした有村。
同作でのインタビューで彼女は、「坂元さんは、私のことは“今でもよく分からない人。できればずっと知りたくない人だ”とおっしゃっていました」と振り返りながら、「私は“知らないままでいてください”と答えたんです。坂元さんの中で、私についていろいろな想像をしてもらって、捜索していってほしい」と楽しそうに語っていた。また同作の初日イベントでも、坂元は「(有村は)とてもミステリアス。不思議な手品を見せられているようなお芝居をいつも見せていただいて、感激しています」としみじみ。
さらに『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(2021)で共演した佐藤健も、イベントで「心の奥底でなにを考えているのか分からないというか、なにか隠し持っているんじゃないかと思わせるような、もっと知りたいと思わせるような人」と有村について、興味をそそられる人だと語っていた。たしかに同作で有村は、主人公・剣心の運命の女性である巴の、消えてしまいそうな儚さを素晴らしく表現。有村のミステリアスな佇まいが、ピタリとハマったキャラクターとなった。
どんな仕事をする上でも、真面目さは最大の武器になる。そして稀代のクリエイターをも刺激するミステリアスな魅力は、女優としてこれ以上にない強みだ。これからまた有村がどのような顔を見せてくれるのか大いに楽しみだが、まずは彼女の“陰と陽”どちらもが詰まった『ちひろさん』をぜひ堪能してほしい。(文:成田おり枝)
Netflix映画『ちひろさん』はNetflixにて配信中。