小悪魔&悪女キャラがさく裂! 『べらぼう』花魁役が話題の福原遥、芸歴20年の歩み
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明るく爽やかなパブリックイメージに加え、狂気を含んだ女性、さらにはサイコパス、そして福原の代表作の一つと言ってもいい『ゆるキャン△』シリーズ(テレビ東京・テレビ大阪・テレビ愛知)で見せる、クールでやや温度が低めな志摩リンと、多彩な役を演じてきた。
こうしたなか、4度目の挑戦でヒロインの座をつかんだ2022年度後期の連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)では、空に魅了され、パイロットを目指すひたむきなヒロイン・岩倉舞を好演。福原自身の原点回帰となるような役で、朝のお茶の間に爽やかな風を吹かせると同時期に、同じくNHKで放送された『正直不動産』シリーズでも、真面目でひたむきな月下咲良を好演した。
振り返っても、非常にバランスのよいキャリア構築を見せている福原。そして今年、『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で自身初となる大河ドラマ出演を果たした。演じたのは、吉原を代表する花魁となる誰袖。禿(かむろ)時代は、稲垣来泉が演じていたが、常に“蔦重ラブ”で「早く身請けをしてほしい」と上目遣いで猛アピールするなど、小悪魔ぶりを発揮する。
特に、先代・大文字屋(伊藤淳史)の体調が悪いなか「500両で誰袖を蔦重が身請けすることを許す」という念書を書かせる誰袖のシーンは、小悪魔を通り越して悪魔の沙汰だったが、こうしたコミカルでキュートさを持つ悪魔的なキャラを演じることは珍しく、福原の引き出しがまた一つ増えた印象だ。
一方で、宮沢氷魚演じる田沼意知に恋心を抱くなか、振り向かせるために、田沼意次(渡辺謙)が画策する蝦夷地を直轄にするための策略を持ちかけ、松前藩家老の松前廣年に“抜け荷”と呼ばれる密貿易をけしかけるというしたたかさも見せた。この時、ふと見せる“悪い目”、さらには駆け引きのために“色仕掛け”をする妖艶さも、福原の新境地と言えるだろう。誰袖は、今後数奇な運命をたどるが、物語中盤に大きなインパクトを与える役割を果たした。
福原は、今夏放送のドラマ『明日はもっと、いい日になる』(フジテレビ系)で、月9初主演を果たすのをはじめ、2026年には『正直不動産』の劇場版にも出演することが決まっている。今年で芸歴20年を数えるが、まだ26歳。“明るく元気で爽やか”な陽のキャラクターから、陰のある役、さらには妖艶な役も加わり、20代後半さらにどんな顔を見せてくれるのか、非常に楽しみな女優だ。(文・磯部正和)
大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』はNHK総合にて毎週日曜20時放送。NHK BSにて18時、BSプレミアム4Kにて12時15分放送。