『豊臣兄弟!』前半戦、“涙腺攻め”3キャラの物語 信長の孤独、市の心の鎧、直の愛
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そして、この前半戦で特に涙腺を刺激されたのが、幼なじみ・直の物語である。幼なじみではあるものの、そもそもは土豪・坂井喜座衛門(大倉孝二)の娘として、小一郎たちとは身分が違うとされていた直だったが、当初から、直のほうがより小一郎のことを好きなのだろうと気持ちが見て取れた。
第2話で家族のために村に残ろうとした小一郎の背中を押したのは、母・なか(坂井真紀)だけでなく、直もそうだった。そして背中を押すだけでなく、直は共に村を出る。女性たちの強さが印象的な本作にあって、直にも強さが備わっていたが、彼女の強さには、「小一郎を好きだ」というはっきりしたベースがあった。しかし、好きになればなるほど、出世を重ねて、休む間もなく戦場に出ていく小一郎を前に、「失ったらどうしよう」という怖さが芽生えていく。
一度は小一郎のもとを去って村へ帰ろうとした直だったが、その気持ちを小一郎が知ったことで、これまで以上の絆を確認した。しかし、そのうえで父に結婚を許してもらおうと村へ帰った直を悲劇が襲う……。
直のなきがらを前にした小一郎の叫びが突き刺さる。そこからの魂が抜けたような小一郎は、藤吉郎と同じく、見ていられなかった。そんな小一郎に直の父が、生前の直と交わした、ある“賭け”を伝えて喝を入れた。
そして第9話のラスト。信長によって名を改められた岐阜城で、小一郎は、第2回のラストと重なる直の幻影を見る。「私、すごいな。小一郎なら、きっとそう言うと思った」と。死してなお、小一郎を立ち上がらせる直の愛。終生の妻となるのは、このあと登場してきた吉岡里帆演じる慶だが、直は、小一郎が秀長として上り詰めるそのときにも、心の片隅にずっといることだろう。(文・望月ふみ)
引用:『豊臣兄弟!』公式Instagram(@nhk_toyotomi)

