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『豊臣兄弟!』前半戦、“涙腺攻め”3キャラの物語 信長の孤独、市の心の鎧、直の愛

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(左から)白石聖、仲野太賀、小栗旬
(左から)白石聖、仲野太賀、小栗旬 クランクイン!

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仲野太賀

 約3分の1が進んだNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』。弟・小一郎(仲野太賀)の視点から、藤吉郎(池松壮亮)の天下統一取りを描く物語は、史実にフィクションを大胆に編み込みながら加速している。気づけば、何度も涙腺を攻められてきた。織田信長(小栗旬)、お市の方(宮崎あおい・「崎」は「たつさき」が正式表記)、直(白石聖)。ここでは、3人の物語を振り返りたい。

【写真】『豊臣兄弟!』に泣かされる――信長・市・直の名シーン

◆小栗・信長、最強の男が、これほど泣かせてくるとは

 「カリスマ」「冷酷」「革命児」と、常に強烈なイメージで称される織田信長。これまでに名だたる名優たちが演じてきたが、演じるほうのプレッシャーも計り知られない。しかし小栗旬は期待を軽々と上回る「織田信長感」でねじ伏せてくる。

 戦国の世を拓く圧倒的な存在感と、みながひれ伏す恐ろしさが際立つが、だからこそ妹・市の前での気を許した姿も刺さる。そんな信長の感情を、“弟”への思いが爆発させてきた。

 信長が、己の命を狙った弟の信勝(中沢元紀)を柴田勝家(山口馬木也)に斬らせた過去は、早い時分より明かされていたが、小一郎と秀吉の強固な結びつきが描かれるにつけ、その事実に切なさが加わっていった。そして第6話で、市が小一郎に、謀反以前の関係を語り、視聴者にも解像度が上がった。弟であっても裏切りはさして珍しくない時代だろう。しかし、信長はリーダーとして常に孤独にさらされながら、自分を慕っていた信勝を信頼していた。頬を震わせ「なぜじゃ!」と叫ぶ信長の姿に、裏切りの傷の深さを感じた。

 小一郎が兄のために命を投げ出した第8話では、信長は市に「弟が兄を裏切る姿が見たかったのだ」とうそぶいた。しかし市から「でもうれしそうですね」と返され、小一郎の姿を浮かべ、満足そうに相好を崩した。そして市を嫁がせたことで、自分の“弟”となった浅井長政(中島歩)のまっすぐさに、また自分も弟を信じてみようかと心を動かす。長政と相撲を取ったあと、「今度は負けませぬ」と言われたときの信長のうれしそうな顔といったら、そのあとのことを考えると切なさしかなかった。


 そして、第14話。長政の謀反である。有名な逸話である、市からの「小豆袋」が登場したが、本作の信長は、長政を信じようとし、「そんなものはこじつけじゃ!」と撥ねつけた。“また”弟に裏切られたと知った信長が、ラスト、足利義昭(尾上右近)を前にした際の赤い目は、もはや演技とは思えぬものだった。

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◆長政だけが外せた、お市の鎧

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