温泉は冬に入るべし! 温泉ソムリエの家元が力説するその理由は…
当初は地元地域の活性化を目指して始めた活動だったが、そうした声を受け、赤倉温泉に希望者を募って温泉ソムリエを認定するツアーをスタート(2005年7月)。ちなみに「温泉ソムリエ」という名前は、ある大学の先生との会話から出てきたもので、家元がワイン好きでもあることから採用したのだという。
「“ソムリエ”って言うとよく温泉を飲むの? って言われるんですけど、実際飲湯許可が出てるところはすごく少ないんです。そこで本家のソムリエさんというのはワインの知識を持っているので、それになぞらえ温泉の正しい知識を持つようにしようと。もう1つ、ソムリエさんはテイスティングやデキャンタージュという技術をお持ちなので、その技術になぞらえ正しい入浴法を身につけようということなんです」。
温泉ソムリエ認定ツアーは赤倉温泉に来てもらう形で開催していたが、さらに希望を受け2008年からは東京での認定セミナーも開始。これで参加者が「爆発的に増えた」といい、現在はどちらにも参加できない人のためにネット講座も行っている。まずは大台、目指せ1万人の温泉ソムリエだが、温泉のよさをより深く知ってもらおうというのが本来のコンセプトであり、家元は冬の入浴を次のように勧める。
「温泉を源泉かけ流しで提供しようとすると、当然夏は熱くて冬は冷たくなる訳です。では夏はどうするかというと水を加え、加水して適温にする。そうすると、お湯の量を半分に絞って温度調整している場合もあるんです。これが冬の場合はお湯をフルに使って加水もしなくていいということですから、冬はお湯の鮮度がいい、あるいは源泉の濃さに近い。この2つを知って入った方が、冬の温泉のありがたみがより分かりますよね」。
なるほど。なお、冬の露天風呂は外気温が低く脳の血管が縮まった状態であるので、十分な水分補給(温かい飲み物)と掛け湯をして、場合によっては頭にタオルを乗せてお湯を掛ける「かぶり湯」をしてから入るようにしてほしいとのこと。温泉ソムリエ協会ホームページにはこうした入浴法が充実して紹介されている。
「温泉は分析書に書かれた成分だけでない、人智を超えた地球のパワーを持って出てきています。日本人のほぼ100%が大好きなものですし、温泉を入り口に健康全般、究極の健康法を目指してこれからも邁進していきたいです」。
まずは「考えるな、感じろ!」とばかり、冬温泉にゆっくり浸かり、今年一年の計に思いを馳せるのがよさそうだ。(取材・文・撮影:しべ超二)