トリンドル玲奈、新ドラマでスパルタ上司を熱演! 園子温も認めた女優力
ところが明けて2015年、トリンドルは女優として急成長を遂げた。とりわけ、黒髪ロングで挑んだ『ある日、アヒルバス』の繊細な演技は、これまでの彼女のイメージを大きく変えた。トリンドル演じる澤田希子は、会社が倒産し40歳でバスガイドの門を叩いた主人公・浅倉葉月(藤原)ら新人を指導する先輩バスガイド。人づきあいがほとんどない希子は壁を作り、仲間も拒絶するが、世話焼きの葉月は、おかまいなくどんどん入り込んでくる。その押し問答が毎回面白く、素直で裏のない葉月に、屈折した希子は少しずつ感化されていくのだ。
トリンドルは、心の壁を崩されていく微妙な心の変化を実にうまく表現している。とりわけ、父親と再会する第4話では、恋人を事故で亡くし、父の身勝手さから家を出た過去が明かされるが、怒りをあらわにしながらも、人間としての弱さ、娘としての切なさをただ前面に出すのではなく、自然に湧き出る感情に委ねているようにも見える。番組サイトの掲示板やSNSでも、「希子さんとお父さん仲直りおめでとう!」「一皮剥けたらどんなバスガイドになるのか楽しみ」など、希子に対する応援が多いのは、トリンドルがしっかりドラマの世界に入り込んでいる証しなのだ。
ここ1年でトリンドルに、いったい何が起きたのか。『リアル鬼ごっこ』では、森林を疾走するシーンの撮影で跡が残ってもおかしくない傷を負いながらも役に食らい付き、「死ぬ以外は何でもやる」と、園監督に直訴したというトリンドル。覚悟を決めた彼女から目が離せない。(文:坂田正樹)