『コマンドー』や『ラピュタ』…テレビ放送時になぜネットで盛り上がるのか
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この他にもテレビで放送されるとネットで盛り上がる映画はいくつもあるが、その現象をもたらす最大の要因は“ライブ感”だ。テレビ放送は時間が決まっていて、大勢の人が同じ作品を同時に見ることになる。その一体感が、ネットの書き込みを通して伝播し、強烈な一体感をもたらすのである。単に映画を見たいだけなら、DVDでもレンタルすれば済む話だが、そうではない。同じものを同じタイミングで体験しているという事実こそが重要なのだ。
ただ、それだけなら『コマンドー』や『ラピュタ』である必要はなく、どの番組でもいいことになる。しかしこの2作品が特に盛り上がるのは、数ある名作の中でも有名なセリフや名シーンが多く、“盛り上がりどころ”がはっきりしているからだ。同じ時間に、同じものを見て、同じところで盛り上がる…現実に置き換えるならまさに“祭り”というわけだ。
だがライブ感はなくとも、“盛り上がりどころ”を共有することでじわりとブームが広がることもある。たとえば映画『ヘンゼル&グレーテル』では、DVDに収録されたメイキング映像でジェレミー・レナーが発した言葉から「そして殺す」というネタが生まれ、コラージュ画像等と共に、ネット上で広く使われるようになった。
ネット時代の映画は単に“観る”だけのものではなく、様々な形で“体験”するコンテンツへと進化している。(文:山田井ユウキ)