『同級生』『ダブルミンツ』…気鋭の漫画家・中村明日美子が描く世界観の魅力

男性同士の耽美な世界を描き続ける人気漫画家・中村明日美子。大学時代、2000年に「月刊マンガF」(太田出版)の「第3回エロティクスマンガ賞』で佳作を受賞して以来、ボーイズラブ界を中心に多くのファンを獲得している一人だ。2016年、アニメ化された『同級生』など多くのヒット作品を次々と生み出しているが、その独特な作風に潜む魅力に迫っていきたい。
【写真】草壁光役「神谷浩史」フォトギャラリー
昨年、アニメ化された『同級生』(茜新社)は、中村明日美子が初めて手がけたボーイズラブ作品として支持を集める代表作。思春期で揺れ動く2人の男子校高校生による、じれったいほどの純粋な恋愛模様を描いた物語である。
話の中心となるのは、入試では全科目満点で合格するほどに優秀な黒髪メガネの優等生・佐条利人(CV:野島健児)と、友だちと日夜ライブ活動にいそしむ天パで半眼のバンドマンである草壁光(CV:神谷浩史)の2人。一見、交わるきっかけのなかったはずの2人は“音楽”を通して会話を交わすようになり、ふとしたときに口づけを交わしたことから、たがいに恋心を抱くようになる。
原作では2人の後日談がシリーズ化されており、高校卒業を機に東京へ残り音楽を続けることに決めた光と、京都大学への進学を決意する利人の姿が描かれた『卒業生‐冬‐』や『卒業生‐春‐』のほか、2人の教師だった原学と新入生である空乃との恋模様を描いたスピンオフ作品『空と原』も刊行されている。