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製作費は当時最高の240億円! 『タイタニック』はいかに狂った映画だったか<前編>

映画

●世界一有名なシーンで起きたミラクル

 本作『タイタニック』の最も印象的なシーンの一つとして数えられるのが、船首でジャックとローズが夕日に照らされキスをするシーンだろう。このシーンでキャメロン監督は本物の夕日で撮影することにこだわった。このシーンを撮るチャンスは8日間あったが、理想的な夕日が訪れるのは1日のうち数分のみ。しかし7日目までキャメロン監督が納得するような夕日は現れず、リハーサルを繰り返した。そしてついに迎えた最終日も曇り空で期待はできなかったが、「うまくいく予感がした」というキャメロン監督はカメラをセット。そして日没が迫ったその時、突然雲が晴れまさに理想的な夕日が出現し、キャストは大急ぎで位置について撮影開始。こうして映画を代表する名シーンが誕生したのだった。

●膨らんだ製作費は当時最高の2億ドルに到達

 本作の企画段階でキャメロン監督は「この映画は8000万ドルで制作できる」と20世紀フォックスの重役たちに主張していた。しかし、20世紀フォックスが改めて製作費を見積もってみると、1億3000万ドルかかることが分かったが、その見積りですら甘かった。撮影スケジュールは138日から160日に延長、夏予定だった公開は5ヵ月遅れて冬へとずれ込み、予算はどんどん膨らんでいった。自分たちだけで製作費のすべてを背負うリスクを回避したかった20世紀フォックスは、全米での本作の配給権を手放す代わりに、同じメジャー配給会社のパラマウント映画から6500万ドルを調達するという異例の事態に。

 それでも予算は足りず、ある時20世紀フォックスの幹部たちは、3時間の映画を2時間にするため、キャメロン監督に1時間カットするように提案する。3時間の作品は、劇場での1日の上映回数が少なくなり、興行収入に直接響くからだ。しかし、キャメロン監督は「カットするなら解雇しろ! そして解雇するなら殺せ!」と断固拒否したそう。かくして最終的な予算は2億ドルに達し、キャメロン監督自身のギネス記録となっていた『トゥルーライズ』の製作費1億1500万ドルを、たった3年で軽々と超えてしまった。

 未曽有の超大作映画の製作は、前例のない困難の連続だった。かつてない壁にぶつかるたび、知恵とアイデアで乗り越え、新しい技術を開発。膨大な金はかかったが、それによりハリウッドに恩恵も与えている。『タイタニック』は、完璧主義者キャメロン監督の狂気ともいえる情熱がすべてに打ち勝った魂の傑作なのだ。今夜の金曜ロードショーで放送される前編では、実際に深海に潜って撮影された本物のタイタニック号や、反転して撮影されたとは思えない出航シーン、ミラクルが起きた夕日のキスシーンにぜひ注目してほしい。(文:稲生稔)

 まだまだある驚きの苦労話! <後編>は5月14日公開。

※ドルは当時のレート120円で換算

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