これまでにない語り口のスリリングな復讐劇『プロミシング・ヤング・ウーマン』
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製作・監督・脚本を務めたのは、脚本家、女優、小説家として活躍するイギリス出身のエメラルド・フェネル。長編監督デビューを飾った本作で、社会にはびこるジェンダーバイアス(男女の役割における固定観念)に切り込んでいるが、フェネルが目指したのは「見ごたえのあるおもしろい映画」。スリラー、ロマコメ、社会派、とジャンルの枠を軽々と超えた巧みなストーリーテリングで観客を一気に予想不可能な復讐劇に引き込む。
ヒロインを取り巻く世界はポップかつカラフルに描かれ、衣装やセットは鮮やかな色彩にあふれている。音楽もブリトニー・スピアーズやパリス・ヒルトンの楽曲が用いられるなどガーリーテイスト。あえてシリアスなテーマとは相容れない要素で彩ることによって、物語に皮肉と強烈な毒気を含ませている。その独創的で大胆不敵な物語に共鳴し、女優のマーゴット・ロビーが製作に名を連ねている。
果たしてキャシーのリベンジはどんな結末を迎えるのか。ウーマンパワーが実を結んで誕生した、ハリウッドの定型を突き崩す華麗な復讐劇をぜひお見逃しなく。(文・古川祐子)