元AKB48島田晴香さんがアイドルのセカンドキャリアを支援 一般企業に就職した元メンバーが語る「進路に迷う後輩の目標に」
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芸は身を助ける――。過去の経験は、いざというとき支えになる意味のことわざだ。アイドル界や芸能界は、一般社会とはかけ離れた世界にも思える。しかし、アイドルのセカンドキャリア支援に取り組む島田さんは、「アイドル時代の経験にビジネスで使える能力をプラスすれば、伸びる人材を育成できる」と自信を持って話す。
「一般の社会に出ても、実はアイドルとして経験したことが役立つ場面が多くあります。AKB48の劇場公演では、本番中にハプニングが起こります。例えば、機材が故障したときは、お客さんに気づかれないようにMCで場をつなぐこともするので、瞬発的な対応力が身につきます。握手会では、たくさんのファンの方をお会いするのですが、何回も来てくれるファンの様子を見て『いつもと違うな』『元気がないな』と気付くこともあって、その観察力や察知能力は今も生きています。
また、SNSを日頃から積極的に活用しているのも、アイドル経験者ならではの強みだと思っています。企業のSNS炎上もニュースになる時代で役立つのは、危機管理能力です。アイドル時代は、少しでも話題に取り上げていただけるよう『言っていいか悪いか』のギリギリを攻める発言もしていましたが、その線引きを判断できる力はビジネスにも応用できると思っています」(島田さん)。
アイドルのセカンドキャリア支援は今後、需要が増えるのか。当事者の1人として、島田さんは近い将来を見据える。
「ここ十数年で、アイドルは日本独自の文化として根付いたと考えています。でも、日本各地でさまざまなアイドルが活動する裏では、全力で向き合ったからこそ目が出る子もいれば、そうでない子もいる…。中学生からアイドルに専念してきたので、アルバイト経験もなく、学歴にもコンプレックスがあるからと、芸能界以外の選択肢を選べない子たちもいると思うんです。私の活動を知っていただく機会を少しでも広げていければ、将来を考えるアイドルからの相談が増えるのかなと思っています。
私はもともと、お人好しキャラと言われていて。困っている人を見たり、後輩で泣いている子や端っこにいる子を見ると「どうしたんだろう」と思ってしまう性格なんです。アイドルだけに限らず、スポーツ選手のセカンドキャリア支援、そして会社が大きくなったら、多くの女性をサポートする事業を展開していきたいです。育児で家庭に入った女性向けの在宅でできるお仕事とか、シングルマザーの人たちが働きやすい環境づくりとか、女性が活躍できる世の中をつくっていけたらいいなと考えています」。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:小川遼)