高杉真宙「自分に負荷をかけることが、今の僕には必要」
昨年、個人事務所を設立し、新たなスタートを切った俳優の高杉真宙。そんな高杉が出演するのが、『異動辞令は音楽隊!』だ。本作のほかにも、2022年後期のNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』への出演が発表されるなど俳優業はもちろん、バラエティー番組への出演など、幅広い活動を繰り広げている高杉に現在の心境を聞いた。
【写真】高杉真宙の撮り下ろしカット(9枚) フィルムカメラでも撮影
■阿部寛の圧倒的存在感「いつか自分も手に入れられたら」
映画『ミッドナイトスワン』(2020年)で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督の最新作である『異動辞令は音楽隊!』。本作で、高杉が演じた北村裕司は、刑事に憧れて警察官になったものの、自動車警ら隊と音楽隊を兼務する現状にいら立ちを覚えているという若者。犯罪捜査一筋30年間の鬼刑事だったが、ある事件で音楽隊に配置転換させられた阿部寛演じる成瀬司とは、ことあるごとにぶつかる役柄だ。
「脚本を読んだとき、基本的に北村はツンケンしているキャラクターだと感じました。でもその部分を強調すると、成瀬さんと対峙(たいじ)したことによって、気持ちが変わっていくところが唐突すぎて、違和感が出てしまうかもしれないと思ったので、どこか憎めないというか、かわいげが出せればいいなと思っていました」。
阿部演じる成瀬に対して北村は、敵意に近い感情をぶつける。高杉自身、その感情について「憧れ、尊敬、嫉妬、恐怖」が入り混じっていたと解釈するが、そんな北村の感情を成瀬は圧倒的な存在感で受け止める。
「成瀬という役柄もあったかもしれませんが、阿部さんがいらっしゃるだけで緊張感がありますし、勢いと迫力はすごかった。ついて行きたいというか、阿部さんがいれば大丈夫という安心感がある。主演の方の堂々たる居住まいや立ち姿というのは、改めて現場にとって大切だなと思いました。まだまだ自分ではそういう存在になるイメージは湧かないですね(笑)。いつかはそうなれたらいいですが…」。