黒木華、“本気でやることを大切に” 「後悔しないように、常に全力でありたい」
強さと柔らかさを併せ持ち、世代を代表する実力派女優として活躍を続けている黒木華。2021年4月期にフジテレビ系月9枠にて放送された人気ドラマの劇場版である映画『イチケイのカラス』では、不器用なほど真っすぐなエリート法律家・坂間千鶴をコミカルかつ情熱的に演じ、観客を魅了する。ドラマから続投する竹野内豊、そして新たに参戦した斎藤工と作り上げた“名バディ”の見どころや、真面目に働くことの尊さを、黒木が語った。
【写真】黒木華、柔らかなほほ笑みに癒やされる
■再び坂間を演じた感想は?「舌が追いつくか、不安だった」
本作は、東京地方裁判所第3支部第1刑事部“通称:イチケイ”を舞台に、自由奔放で型破りなクセ者裁判官・入間みちお(竹野内)と、上昇志向が強い超ロジカルなエリート裁判官・坂間千鶴(黒木)による掛け合いや、葛藤しながらも真実を追求していくイチケイメンバーの物語が人気を博したドラマの劇場版。みちおがイチケイを去って2年。岡山に異動となったみちおと、“他職経験制度”で弁護士に転職した坂間が、新たに国家機密に挑む。
ドラマ版で黒木は、超真面目で堅物の坂間をハマり役として演じて大いに話題となった。久々に坂間を演じられることに「ワクワクした」という黒木。「これまで私は、再び同じ役を演じるという経験があまりなかったので、それが不思議でもあり面白くもあり」と笑顔を見せ、「坂間は、早口でまくし立てるようなキャラクター。私自身は、体内に流れているスピードがそんなに速いほうではないので、坂間のスピード感に戻ることができるかなという不安はありました。舌が追いつくかなって」と率直な思いを吐露。竹野内をはじめとするイチケイメンバーと対峙することで、“坂間スイッチ”を入れることができたと感謝する。
『映画 イチケイのカラス』メイキング写真 (C)浅見理都/講談社 (C)2023 フジテレビジョン 東宝 研音 講談社 FNS27社
■竹野内豊に寄せる信頼 斎藤工とは「法律を超えた胸キュンシーン」を体現
本シリーズの大きな見どころとなるのが、みちおと坂間の“ちぐはぐコンビ”による掛け合いだ。自由気ままでマイペースなみちおにいつも翻弄される坂間だが、劇場版でもその振り回されっぷりはもちろん健在。黒木が「撮影初日からすぐに、みちおと坂間の空気感を思い起こすことができました。イチケイメンバーが集まる野球のシーンは相変わらず賑やかで楽しかったです」と回想するように、本シリーズお馴染みとなった草野球シーンもキャラクターの個性が伝わる場面となっている。みちおが「坂間千鶴、アウト〜!」と声を上げるセリフは台本にないものだったそうで、黒木もアドリブで応酬したのだとか。
「田中(亮)監督がその場で生まれたものを面白がってくださるので、現場でどんどんシーンが膨らんでいくことも多いです。みちおは突拍子もないことを言い出したり、子どもっぽかったりするんですよね。そういう一面を竹野内さんが真面目に演じるからこそ、みちおは面白くて魅力的なキャラクターになっていると感じていて。私が坂間として表現したお芝居も、みちおとして受け取って面白いものにしてくださる。それはドラマの時からの積み重ねがあったからこそ、できたことだと思っています」とバディとなる竹野内を信頼しきり。
『映画 イチケイのカラス』メイキング写真 (C)浅見理都/講談社 (C)2023 フジテレビジョン 東宝 研音 講談社 FNS27社
さらに「みちおの独特のテンポ感や雰囲気は、竹野内さんご本人が持たれているものが映し出されていると思います」と目尻を下げ、「普段の竹野内さんは、かっこいいおじさま。最近はおそばにハマっているらしいです」とにっこり。
「みちおは坂間にとって師であり、同僚であり、仲間でありと、いろいろな要素を満たしている人。みちおと坂間は、正義を突き詰めていく方法は違うけれど、考えは同じ。みちおが言う“みんなにとっていい方法を見つけましょう”というセリフは、きれいごとに聞こえるかもしれないけれど、法律家として大切にしなければいけない本質を突いている言葉だと思うんです。その言葉に心を動かされて、悩みながら成長していくのが坂間。本当にいいバディだなと感じています」と黒木自身、2人の関係性に惹きつけられているという。
ちなみに竹野内だけでなく、劇場版には斎藤、山崎育三郎、向井理、津田健次郎らかっこいいおじさまが大集結しているが、黒木は「そうなんですよ!」と声を弾ませながら「私の最推しは小日向文世さん。小日向さんがいると、現場が一気に和やかになるんです」と教えてくれた。
そして劇場版には、坂間との恋の予感を感じさせる人権派弁護士の月本信吾役として、斎藤が新たに参戦した。「みちおとのバディと、月本とのバディの違いを楽しんで観ていただけたらうれしい」と願った黒木だが、坂間の恋模様は本シリーズにおいてなんとも新鮮な展開だ。
「坂間は、“これは恋だ”と気付くのが遅い人なんですよね」と笑いながら、「坂間にとって月本は、男女を超えたバディとして目標に向かって一緒に行動をしている相手で、同じような正義感を持っている人。だからこそ魅力的に見えたんだと思いますが、坂間は“恋をしている”と気付かない(笑)。坂間っぽいなと思いました」と役柄への愛情たっぷりにコメント。
お相手となった斎藤については「初共演だった」そうで、「斎藤さんは、毎回新鮮な気持ちでお芝居をされる方。それを受け取るのが、ものすごく楽しかったです。クランクインする前は監督業をされていたそうで、“役者、できるかな”とおっしゃっていましたが、監督としての目線もお持ちなので、共演できてとても刺激になりました」と語る。月本と自転車の二人乗りをするシーンは、観客にとって“恋する坂間”の表情を確認できる場面で、黒木は「斎藤工さんと自転車二人乗り。いいですよね(笑)。もちろん法律上はダメですから、法律を乗り越えたキュンキュンシーンになりました」と楽しそうに振り返っていた。