『ウルトラマンブレーザー』蕨野友也、「ウルトラマン」への想いと「俺が行く。」に込められた真意を語る
――ヒルマ ゲントは、勇敢な部分もあれば落ち着きも感じられる人物です。蕨野さんはゲントをどのような人間だと捉えていますか?
蕨野:彼は30歳で妻子持ちなんです。となれば、ある程度の落ち着きはあると考えて撮影に臨みました。ゲントという人間を象徴するのが、やはり口癖である「俺が行く。」だと思います。この言葉は、「自分でやったほうが早い」という気持ちから出ている部分もあると感じていて。しかし、それは裏を返せば「自分がすべてを背負い込めば、仲間や周りに迷惑をかけない」という想いがあるのだと台本を読んだときに思いました。単なるわがままで行動しているわけじゃなくて、「俺の身ひとつで解決するなら、それでいい」という気持ちから出る言葉なんじゃないでしょうか。勇敢さと仲間思いな一面がある彼だからこその言葉なんだと感じます。
――「俺が行く。」の意味を、子どもたちがどう感じるのか気になるところですよね。
蕨野:そこはもう、みなさんの判断に任せるしかないです。「俺が行く。」には責任も含めて色んな意味が込められているんですよ。何よりゲントたちは命がかかっていて、失敗したらそこで終わり。「SKaRD」というチームを組んで、隊長として地球を救うという指令がきたからには、ゲントとしても「俺が行く。」だけでは済まなくなってくる。しかし一方で、部下の命を危険に晒すくらいなら俺がという気持ちもある。その葛藤を抱えながら、地球の平和を守るために戦います。
『ウルトラマンブレーザー』場面写真 (C)円谷プロ (C)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京
――理想の上司という感じでカッコいいです。
蕨野:でも、彼は話を聞いているようで聞いていないときもありますよ。本当は分かっているけれど多くは反応しないとか。みなさんの日常の中にもある上司と部下の関係とか「あるよねそういうの」っていうある種のリアリティがちりばめられているかもしれません。
――それは本作のテーマでもある「コミュニケーション」にも関わってくる部分かと感じます。
蕨野:僕たちの日常生活においても、誰かと話したからといって必ず悩みが解決する訳ではありません。「コミュニケーション」は取るほど相手のことを知れますが、いい面ばかりが見えてくる訳でもない。とはいえ、取らないと互いの気持ちは伝わりません。本当に難しいです。相手のことを思って言葉をかけるのも大事ですし、ときには“言わない”という選択も必要になったりしますし。
――撮影でも、共演者の方と色々な「コミュニケーション」を取っていったのでしょうか?
蕨野:もちろんです。特に伊藤祐輝さん(副隊長ナグラ テルアキ役)とは密に連絡を取り合ったり、「ちょっと聞いて欲しいことがあるから来てもらえないか」と実際に会ったりしていました。「SKaRD」のメンバーとは、そういう関係性を日常から築いていましたね。