花總まり、新作舞台で“縮んでいく妻”に「今までやったことのない役柄にチャレンジしたい」
――夫役の谷原さんとは初共演。お稽古を重ねる中で谷原さんの印象は変わられましたか?
花總:谷原さんはトレンディドラマなどでよくお見掛けしていましたし、最近は司会者としての姿もほぼ毎日見ているので、実際お会いした時には、なんとなくイメージ通りの方だなと思ったのですが、やっぱり声がすてきだなとすごく思いました。
谷原さんとは同学年なんですよ。なので、夫婦役を演じるにあたって、そこで一気に距離が縮まった感じがして、演じやすさがあります。今回、お稽古場ではみなさんあだ名で呼び合おうということになって(笑)。“しょうちゃん”“はなちゃん”でぐっと距離を縮められました。
谷原さんは宝塚もお好きだということで、いろいろお話したりしています。
――ステイシーという女性を演じるにあたり、役作りでの苦労はありますか?
花總:ステイシーは何かというと計算をして、すべてを測る、数学を愛してやまない女性で、芯のしっかりした女性でもあります。夫とはうまくいってなくはないけども、どこかすれ違っていて、ギクシャクしている。そんな微妙なニュアンス度合いを出すのが難しいですね。子どものほうに気持ちが行ってしまい、夫に愛がないわけではないけれど、おざなりになってもいて。
そんな日常の中で、自分が縮んでいくという事態に直面するのですが、これまでの舞台だったら、自分が今まで経験してきたことや、「あ、こんな感じかな」という感覚を持ってきて自分の中に落とし込めますが、縮んでいく経験がないので(笑)。縮んでいくけど幼くなっていくわけではないし、このままいったら消えてなくなっちゃうという日にちは迫ってくるし…というステイシーの心情を想像はできるんですけども、自分の中で実態としてつかむことがとても難しいです。
でもステイシーは、決して弱気になったり絶望したりすることもなく、数学の力で解き明かそうと立ち向かう女性でもあるんです。ちょっぴり、そういう事態を楽しんじゃう様子もあったりします(笑)。
そうそう、G2さんが「ステイシーはここからここまでの距離をミリ単位で測る。何かを買う時もここからここまで何センチ何ミリと測ったりする女性なんだよ」とおっしゃっていて、私がうんうん!とうなずいていたら、「(花總も)そうなの?」って(笑)。実は私もここにカラーボックスを入れたいとなったらきっちりはまらないとイヤだから、そこは何センチ何ミリ、この棚は何センチときっちり測ったりします。きれいにはまったときに、「はーーーー!! 気持ちいい!!!!!」って思うタイプなんです(笑)。そこはちょっと共感できるかな。
――ちなみに、花總さんがステイシーと同じ状況にあって、「今持っているもので最も思い入れのある物を差し出せ」と言われたら、何を差し出されますか?
花總:日常持っている物となると、意外とそこまで思い入れのある物ってないかなと思うんですよね…。お稽古中だったら音を取るのに使うキーボード。だいぶ長いこと使っているので、そういう意味ではすごく思い入れのある物ですね。
日常持っている物となると何を出すだろう…? なんでも出てくる小さい薬袋…かな?